◆女性ひとり旅が似合う土地ナンバーワンは?

「ちょっとひとりで京都まで」。一度は言ってみたいセリフです。

 ソロ活が認知されて久しいですが、未だ女性のひとり旅にさみしいイメージを抱く人もいるようで。そんなイメージ、当人はまったく意に介していないのですが、こと京都のひとり旅となるとグッと色香に包まれます。「非日常感ましまし」と本書が言うように、いつだって京都はそそられる土地なのです。

「ひとり旅の受け入れ態勢もばっちり」と本書が絶賛する京都は、山脇さんのリピート率も1位。京都の中心部の通りは南北と東西で規則正しく直行し、「碁盤(ごばん)の目」になっています。ひとつの方角さえわかれば、道に迷ってしまうことはほぼないでしょう。

 本書で紹介されているひとり旅は、「骨董屋さんへ古伊万里を見に行く」。古伊万里とは有田焼の一種で、おもに江戸時代に生産された有田焼や三川内焼や波佐見焼なども含めた総称です。

古伊万里の鉢
 なんだか格式高いしハードルも高い、と私などは怯(ひる)んでしまいますが、50歳という成熟した年齢だからこそ、歴史も由緒もある古伊万里が馴染むような気もします。たとえ買う目的がなくとも、京都という特別感あふれる土地で骨董品に魅入られる、というシチュエーションそのものに酔いしれてしまうのです。

 出会いは人だけではなく、物も同じ。なんとなく入ったお店で古伊万里の器にひと目惚れしてしまったら、とてもロマンチックではありませんか。

 山脇さんにも新しい出会いがありました。竹の箸です。「箸でここまで違うのか? と思うくらい、なんでもおいしくなりましてね」と古伊万里のお店のご主人に聞き、俄然興味がわいたのです。さっそくご主人からおしえてもらった竹屋さん、「竹松」へと急ぎました。

 古伊万里は買わず(買えず)、目と心で堪能し尽くし、お店を後にしましたが、ご主人のあたたかい接客とおもてなしは、間違いなく「ごきげん玉」の貯金になったことでしょう。竹の箸も、今では繰り返し使うほどの愛用品になったそうです。