落ち込む夫に妻が差し出したものは……
雄二さんは、本当に見ていられない程に落ち込んだと陽子さんはいいました。放っておくと、自殺しかねないほどの落ち込みようだったとのことです。
そんな落ち込む雄二さんに、陽子さんはあるものを差し出しました。
それは……なんと「公務員試験の合格証」です。実は陽子さん、雄二さんの独立が失敗することも見越して、雄二さんの独立直後から勉強を重ね、そしてこの度、合格していました。
さらに、それだけではありません。残った借金400万円を清算するために、陽子さんが結婚前に貯めていた貯金すら、差し出してきたのです。
陽子さんは言いました。「これからまた、2人で一からがんばりましょう」
再就職し、世帯年収800万円に
その後、雄二さんは再就職し年収約400万円、陽子さんは公務員となって年収約400万円、世帯年収800万円となりました。
現在、共に30代後半の二人は、独立当時のことを振り返る度に、後悔しつつも「良い思い出」と捉えておられます。
またあれ以来、雄二さんは恩返しのつもりなのか、陽子さんが困るほどに尽くしているそうですから、本当に「終わり良ければ全て良し」かもしれません。
失ってはじめて気付く、会社のありがたみ
あなたの夫が突然「会社を辞めて独立したい」などと言いだしたら、あなたならどうしますか?意外と最近、独立する方の中には「会社がイヤだから」を理由にする方がおられます。
本当に夫が独立を強く決心したら、中々引き留めるのは難しいかもしれません。
特に夫の方が妻よりも年収が高い場合、なかなか夫の決断には口を挟みづらくなるかもしれません。
ですが……ハッキリいって、独立は甘くありません。
一昔前なら「10社創業して、3年生き残るのは2社程度」と言われていましたが、法改正で、資本金ゼロで創業できるようになった今は創業者が増えたものの、10年生き残るのは全体の6%程度とされています。
また、筆者も経験者だからこそ分かるのですが、どうしても会社に勤めていると、給料や休日は、あって当たり前ですから、それらの価値が分からないのです。そして、失ってはじめて会社のありがたみを理解し、出戻る方も本当に多いのが独立開業の基本といえます。