石川県七尾市に本社を置くスギヨは「ビタミンちくわの謎」をテーマに食育のデジタル教材を制作し、3月29日(金)に公開した。

ビタミンちくわは、70年以上前から石川県で作られている。それにも関わらず、生産量の7割は長野県で食べられているという不思議なちくわだ。どうして遠い長野県でたくさん食べられているのか。この謎に挑戦することで、子どもたちが自分で考えながら地元の食文化に理解を深めてもらうのがねらいだ。

人手不足でも学習の機会を増やしたい

2022年、ビタミンちくわ誕生70周年の節目に、長野県大町市の小学校で初めてビタミンちくわを題材にした食育授業を実施した。黒部ダム建設時にビタミンちくわカレーが食べられていたというつながりがあったからだそう。



2023年も引き続き食育を実施。子どもたちは楽しみながら謎に取り組み、普段当たり前のように食べているビタミンちくわを通して、長野独自の食文化や歴史を発見した。



先生たちからは大町市以外でも広く長野県内で食育を実施してほしい、という声が集まった。ただ、人手や時間の関係で出張授業に行ける回数は限られ、長野県内すべての学校に赴くことは現時点で容易ではない。それでも、少しでも多く学びの機会を提供できないかと、デジタル教材を制作することとなった。

誰でもビタちく食育ができる



今回公開されたデジタル教材は、子ども用にパソコンやタブレット、スクリーンに映すスライドと、先生・大人が解説するための手引き書の2つから成っている。スライドは、わかりやすく親しみやすいデザインにし、実際に対面授業を受けている状態に近づけるため、質問に対して解答ボタンを押したり、書き込めるようになっている。

デジタル教材は、学校に限らず、地域の図書館や学童保育、個人の家庭学習など、広く活用してもらえるよう、スギヨのホームページで公開。先生・大人用にポイントや解説をまとめた手引き書も用意している(要申込・無料)。

能登半島地震で被災、工場は生産停止


能登半島地震が発生し、ビタミンちくわ工場のある石川県七尾市は震度6強を観測した。元日は年に一度の休業日のため、工場内は翌日の仕込みをする人がいただけで、人的被害はなかった。ただし、工場内は天井が落ち、壁が剥がれ、機械が倒れ、断水も続いた。

食育に携わる人員不足や距離的、時間的な制限に加え、工場停止という状態においても、ビタミンちくわを使った学習機会を作るために、デジタル教材を活用していくという。

また、2023年秋、長野県大町市で食育授業予定していた3校のうち、大町南小が1月に延期となっていた。しかし、地震の復旧作業のため出張授業に行くことができなくなった。

地震で食育ができなかった大町南小の5年生からは「おいしいビタちくを待っています」「少し離れたところから応援しています」「石川県の人たちならきっと大丈夫です」「この手紙で元気になってください」など、応援のメッセージが届いた。この温かいメッセージが復旧の力になっている。

スギヨが制作した「ビタミンちくわの謎」がテーマの食育デジタル教材を、この機会にチェックしてみては。

スギヨ:https://www.sugiyo.co.jp
食育デジタル教材「ビタミンちくわの謎」:https://www.sugiyo.co.jp/syokuiku/vitachiku_no_nazo

(江崎貴子)