──歴史エッセイスト・堀江宏樹が国民的番組・NHK「大河ドラマ」(など)に登場した人や事件をテーマに、ドラマと史実の交差点を探るべく自由勝手に考察していく! 前回はコチラ

※劇中では主人公の名前はまだ「松平家康」ですが、本稿では「徳川家康」に統一しております。家康に限らず、本連載において、ドラマの登場人物の呼び方は、原則として読者にとってなじみの強い名称に統一します

 『どうする家康』第9回は、松山ケンイチさん演じる本多正信の存在が光りましたね。正信はかつて幼なじみの少女が戦の中で連れ去られており、後年、偶然再会を果たすも、遊女に身を落とした幼なじみは「この世は苦しみばかり」と言って阿弥陀仏にすがりながら息を引き取った……という悲劇を経験をしていたためか、寺内町や信徒を救いたいという願いがありながらも、どこか冷めて、虚無的な一面もあるように見受けられました。