青森県黒石市にある中町こみせ(小見世)通りは、江戸時代からの風景が今も残る町。北国の厳しい冬を過ごす城下町は、市民の「大切」が、たくさん詰まったぬくもりのある町です。黒石でのお勧めスポットをご紹介します。

中町こみせ通りってどこにあるの?

中町こみせ通りがあるのは、青森県黒石市。十和田八幡平国立公園北西の玄関口に位置する市で、自然に恵まれた豊かな場所です。1656年(明暦2年)に、弘前藩が5千石を分知(所領の一部を親族に分与すること)されたことによって始まった城下町です。

中町こみせ通りってなに?

黒石市のこみせ通りは、全国的にも非常に珍しい伝統的な建造物で、現代で言うアーケード街が藩政時代からの形で、ほぼそのまま残っているのです。北国の厳しい吹雪はもちろん、雨風や夏の日差しから人を守るために作られたアーケードで、商店通りを人々が快適に歩けるように作られた人情味溢れる通りなのです。

冬になると「しとみ」と呼ばれる板が、車道側の柱と柱の間に落とし込んで、吹き込む雪を防ぎます。また、柱のところどころには、鉄の環が打ち付けられているのですが、これは馬の手綱をつなぐための環です。この通りが、古くから商人の町として繁栄したことを物語っています。日本の道百選にも選ばれており、黒石駅から徒歩10分ほどの場所にあります。

中町こみせ通りで見たいスポット7選

【1】散策のトップは「松の湯交流館」から

長年、銭湯として黒石の人々に深く愛され、賑わい親しまれていた銭湯「松の湯」は、昔とはまた違った形で現代によみがえり、人々が集まるコミュニティの場として親しまれるようになりました。地元の人はもちろん観光客にも、散策の休憩・観光案内所として気軽に立ち寄れる場が提供されています。

屋根を突き抜けた、樹齢約350年の松の木が印象的な建物で、銭湯だったころの番台に体重計や脱衣かご、浴槽や蛇口までそのままで、なんとも楽しい交流館です。

交流館の裏手には無料駐車場も完備、Wi-Fiも接続可能、ほんの少しですがお土産もあります。季節によって変わりますが、青森の有名とうもろこし「嶽きみ」を使用して作られた「きみだけあいす」を見つけたらぜひ召し上がってみてください。とうもろこしを前面に感じるおいしさにびっくりしますよ。

【2】国の重要文化財「高橋家住宅」 

藩政時代、黒石藩の御用達だった米穀商・高橋家の邸宅です。米のほかにも味噌、醤油、塩などの製造販売もしていました。1751年~1763年頃に建設されて以来、200年以上もの歴史を誇る歴史的建造物です。敷地内には喫茶店があり、井戸から汲んだ水を使ったコーヒーやお茶、手作りのあんみつが頂けるそうです。国の重要文化財に指定されています。

【3】大きな酒林が目印「中村亀吉酒造」

1913年(大正2年)創業の造り酒屋。酒造りの名工といわれる津軽杜氏によって長年に渡り造り続けられました。個性と津軽の風土にこだわって醸造した酒は、品評会での評価も高く数々の賞に輝いているそうです。当主の名を冠した「亀吉」や「玉垂」という銘柄が有名です。1986年に放送されたNHK大河ドラマ「いのち」では、ロケ場所になっています。店舗前に吊るされた酒林(さかばやし)は、大きく存在感があります。見学、試飲もできます。

【4】レトロ可愛い「黒石市消防団第三分団第三消防部屯所」

1924年(大正13年)に建造された歴史ある屯所で、望楼(ぼうろう)付きの木造2階建てです。2階部分前方に一間×一間の望楼を三段載せていることから、全体として五階建の建物になっています。消防屯所とは、いわゆる消防団の詰所で昔の消防団が実際に使っていました。この屯所には、日本の現役車両では最も古い消防自動車NISSAN FS780が配置されているそうです。このポンプ車は、地元の寄付で購入されたそうで、今でも大切に使われているそうです。

【5】人形も扇も一度に味わえる「黒石ねぷた祭り」

画像提供:公益社団法人青森県観光国際交流機構

例年、7月30日・8月2日の地区合同運行で、50台を超す人形ねぷたと扇ねぷたが1ヵ所に集合し、町を練り歩きます。2種のねぷたが同時に共存して運行されるのが、黒石ねぷた祭りの大きな特徴です。1993年に青森県無形民俗文化財に指定された黒石ねぷた祭りは笛・太鼓・鉦の囃子に、「ヤーレ、ヤーレヤー」の掛け声が勇ましい夏のお祭りです。1782年~1788年(天明年間)に、家老を勤めた境形右衛門(さかい ぎょうえもん)が、春は馬乗り、夏はねぷたや盆踊りを奨励して、近郊の弘前領から人々を集める方法を講じた事などが、現在の祭りにつながっています。

お祭りに参加することは無理でも、夏に訪れると、町の一角に見事なねぷたが飾られており、祭りの華やかさに想いを馳せることができます。

【6】手作り感満載の「ねぷた灯篭」

夏にこみせ通りを彩るのが、ねぷた灯篭。黒石市の伝統文化を受け継いでいくという意味を込めて、黒石市内の小学生が自分の夢を書き込み作成したねぷた灯篭がこみせ通りに吊り下げられ、風流な彩を添えます。このねぷた灯篭を楽しめるのは、毎年7月中旬~8月下旬予定。

【7】世界に一つを手に入れよう「IRODORI」

実際に黒石ねぷたまつりで使用した「ねぷた絵」を再利用して、うちわや灯篭の制作体験や販売を行う工房です。巨大なねぷた絵から好きな部分を選んで作れるので、世界に一つだけの作品が出来上がります。ねぷた絵は、伝統的な色や柄が並び、組み合わせしだいで雰囲気が変わるので、パーツ選びだけで悩んでしまいそう。店内には、他にも青森在住の作家さんが作る津軽雑貨も並んでいるので、お気に入りが見つかるかもしれません。製作体験は要予約。