自分の今の貯金額は少ないのか、将来足りなくなる可能性はあるのか、そんな不安を持つ方は少なくありません。特に50代となると老後の生活を強く意識する頃で、人によっては住宅ローンや多額の教育費負担などを抱えています。それでは、「ここまで貯めておかないとまずい」という最低限の貯金額はいくらなのでしょうか。

50代でも貯金できていない人は多い

金融広報中央委員会が2019年に実施した「家計の金融行動に関する世論調査」によると、50代の単身世帯の4割近くが「金融資産をまったく持っていない」と答えています。ここでいう「金融資産」とは、普段の生活や引き落としのために置いているお金以外のことで、運用や将来の備えにあてるために保有している預貯金や株式、貯蓄型の保険などを指します。 同じ50代でも、2人以上の世帯では「金融資産ゼロ」は2割程度です。50代の単身世帯の金融資産保有額(中央値)は54万円、2人以上世帯は600万円と、こちらも大きな差がついています。 単身の方は、子ども関連の出費がなく、支出を抑えやすい傾向があります。でも、それが原因で子育て世帯に比べて危機感を持ちにくくなり、貯蓄できないまま老後を迎える方も多いです。

「最低限ここまで貯めておかないと危ない」貯金額はいくら?

必要な貯金額は、その人が今までどんなライフスタイルを送ってきたのか、どんな老後が理想なのかなどによって大きく変わります。子どもの有無、住宅ローンの有無、退職金の有無も影響します。自分の場合はどうなるのか、今後の人生で「かかるお金」と「もらえるお金」を計算してみることが大切です。

• 基本ルール「最低限貯金しておきたい額 = 今後かかるお金 - 今後もらえるお金」

夫婦+子ども(高校生)1人の場合の例

今後かかるお金:老後資金+教育費(大学進学費)+住宅費(ローン残債)

60歳~90歳まで30年間老後があるとして、その間月平均30万円で暮らしていくとすると1億800万円。通常、退職後や子どもの独立後はそれまでより出費が抑えられます。子どもが文系私立大学に進学したと想定。自宅からの通学の場合、4年間の教育費は700万円、住宅ローン残債1,000万円とすると合計は1億2,500万円。

今後もらえるお金:退職金+年金

夫が会社員、妻が扶養内のパートと想定します。夫の退職金2,000万円、年金が2人合わせて月23万円×25年(65歳~90歳)で合計8,900万円。

この例では、かかるお金ともらえるお金の差額は3,600万円です。60歳までにこの金額を貯める、もしくは生活費を月25万円で抑えるように工夫する(-1,800万円)、夫婦で月10万円分、60~70歳まで働く(+1,200万円)といった方法もありますね。