家族が認知症になった……頭ではわかっていても、これまでできていたのにという気持ちが先行してしまうため、どうしても理解しにくいものです。イライラしてキツイ言葉を投げかけてしまうことも……。今回は認知症の人にかけてはいけない言葉を、元看護師に取材しました。

物忘れを責める言葉

「認知症症状が進み、ご飯を食べたことも忘れてしまう80代の女性。ご飯を食べた直後でも四六時中食べてないと言い張ります。面会に来た家族が、『さっきご飯食べたでしょ!』と何度も伝えますが、話は平行線。最後には喧嘩になり、帰ってしまいます。患者さんはさっきまでいた家族が帰ってしまったことが理解できず、看護師に何度もどこに行ったのかと聞き、寂しそうにしていました」

不注意を責める言葉

「財布が盗まれた、なくなったと、ずっと物を探している70代男性。訪室するといつものように荷物をひっくり返して財布を探していました。そのタイミングで家族が来られ、『財布は金庫の中に入れているでしょ!何度も探して看護師さんを困らせないの!』と強く叱り、患者さんが落ち込んでしまいました。家族が帰られたあと、また『ない、ない』と探していましたが、どこか元気がありませんでした」