こんにちは。恋愛婚活コンサルタントの菊乃です。

趣味がなく会話の話題に悩む舞さん(仮名・29歳)が、婚活のご相談にやってきました。今まで彼氏がいたことはないそうです。

海岸で遠くを見つめる女性
写真はイメージです(以下同じ)
マッチングアプリも使ったことがありますが2回目のデートに進んだ人は誰もいません。様々な婚活の体験談を読んで「彼とは共通の話題で初対面から盛り上がった」というのを目にするたびに、そもそも初対面で盛り上がったことがない彼女はため息をつくしかありません。

◆ネットで初デートの話題を調べてみたのはいいけれど

「初デート 話題」で検索して出ていたページで“鉄板の話題”として推奨されていたのは「地元・出身地」「ペット」「食べ物」「休日の過ごし方」「趣味」の5つだったそうです。

そんな舞さんの、ある男性との初デートの会話を再現します。

舞さん「ご出身はどこですか?」

男性「埼玉です。舞さんはどちらですか?」

舞「そうなんですね。練馬です。今も実家にいます」

男「そうなんですね」

舞「ペットとか飼ったことありますか?」

男「いや、ペット禁止マンションなのでないですね。舞さんは?」

舞「私もないです。好きな食べ物はなんですか?」

男「肉です。舞さんは?」

舞「何でも好きです。休みの日って何してますか?」

男「ジムに行ったりすることが多いかな。舞さんは」

舞「出かけることが多いです。趣味は何ですか?」

男「サッカー観戦と筋トレかな。舞さんは?」

舞「えっと、趣味ないです」

話題は調べてそれについて相手に質問したけれど盛り上がらず、相手からの連絡は途絶えました。

話を聞いただけで、まったく盛り上がらない光景が目に浮かびます。お見合いのメッカのホテルのラウンジには毎週末、多かれ少なかれこんな「面接のような一問一答」をしている男女がいます。

◆「趣味は旅行」と言ったら突っ込まれたことがあった

何か趣味を持った方がいいのか、始めるとしたら何がいいのか、そもそも趣味探しは婚活に必要なのか、ぐるぐる迷って30歳の誕生日も近づき焦って不安になり、私のところを訪れたそうです。

舞さんのように、趣味がないと悩む人は多いです。ある男性に「趣味は旅行」と言ったら「旅行は頻繁に行くわけじゃないから趣味と呼べないのでは?」と趣味の定義を突かれたそうです。それから、趣味はないと言うようになったとか(そんな人は、断ればいいだけだと思うんですが……)。

◆趣味の話はデートのきっかけを作るためにある

でも詳しく聞けば、舞さんは桜や紫陽花(あじさい)など季節の花が咲けば見に行くようですし、出かけるならばその付近の話題の飲食店を調べてついでに食べているみたいです。そして中学、高校、大学とそれぞれ違う部活やサークルに所属していたとのこと。入部のきっかけは「誘われたから」。

アジサイと雨傘
自分から主体的に物事へ興味を持ってこなかったことを、ネガティブにとらえている様子だった舞さん。『何をやるか』より、「先輩が優しそう」「友達がいる」という『誰とやるか』が大事だそうです。

『鬼滅の刃』など当時話題の漫画も読んでいて、幅広く広くいろんなことに触れている女性だと思いました。

「趣味について話すのが不安なら、『趣味ってほど詳しいわけじゃないですが、食べ歩きが好きです』とか前置きして伝えてはどうでしょうか。趣味の話は親近感を持ってもらったり、デートに誘うきっかけを作るための雑談であって、趣味なんてなくてもいいんですよ」

◆相手が質問に答えたら、そこを掘り下げてみよう

冒頭の「面接のような一問一答」について私が突っ込むと、

「デートでは『相手に質問して興味を持つのが大事』ってよく聞くんですけど」と舞さん。

「間違いじゃないですが、相手が回答したのにそこを掘り下げないで次の話題に移ってしまえば、ずっと浅い会話のままで盛り上がらないですよね。

出身地を聞いて埼玉と言われたら『埼玉のどの辺ですか?』とか『埼玉なんですね。私も練馬なので近いですよ』とか、埼玉をスルーしないで、なにかそこから広げるとかしないと興味薄そうに見えるよ」

向かい合って話すカップル
「そうなんですね。住んでる場所とか個人情報に踏み込むのって失礼って感じないかなと思って、どこまで聞いたらいいか分かりません」

「それなら『私は練馬出身なんです。埼玉のどちらですか?』って先に自己開示してから質問してはどうでしょうか。自分の事を話してからだから、踏み込みすぎって受け取られにくいですよ」

舞さんは、発言する前に色々と考えすぎてしまうタイプなのかもしれません。

「そうですね。自分の話をしすぎるより、聞き上手がモテるってネットや本に書いてあって」

◆一問一答形式の面接デートは、聞き上手とは言わない

「たしかに世の中には自分の話ばっかりする人もいて、そういう方はモテないんですけど、舞さんがそういうタイプではないでしょう。

一問一答形式は、質問ぜめというかもはや面接なんですよ。聞き上手とは言いません。

繰り返すけど、相手の回答をまったく深掘りしないと、興味を持っているように感じられないの。深掘りできるかどうかという基準で考えると、舞さんもペットを飼っていないし東京でペットを飼ってる方は少ないから『ペット飼ったことありますか?』という質問をしても、話を広げるのが難しそうじゃない?」

食事デート
「そうですね。そう言われればペットを飼っている人に会いませんでした」

どうやらデートのマニュアルを読んで、その通りに質問だけしているようでした。

◆「好きな食べ物は何ですか?」の聞く本当の意味は

「好きな食べ物は何ですかって、何のために聞くと思う?」

「相手を知るためです」

「それはそうなんだけど、2回目デートってまだお互いを知らないしお食事デートが多いんですよ。お食事するとしたらどこのお店がいいか調べるし、お相手の好きな食べ物とか食べられないものとか、出かけやすいエリアとか、そういった情報は必要じゃない?」

「そうですね」

「その布石(ふせき)なんです。好きな食べ物を聞かれて『何でも好き』って答える女性と『焼き肉が好き』って答える女性とどっちが食事に誘いやすいと思いますか?」

「焼き肉です。あ~、好き嫌いあると印象悪いかなと思って、何でも好きって答えてました。本当に何でも食べられるんですけど、それでも何か言った方がいいんでしょうか?」

◆良かれと思って相手に合わせたつもりがアダになる

「逆に考えよう。舞さんがお店を探すとして、なんでもいいよって言う男性と、焼き肉が好きっていう男性とどっちがお店を決めやすい?」

「焼き肉です。何でもいいって言われるとノーヒントで決められないです」

「そうなんですよ。良かれと思って相手に合わせますよのつもりだとしても、お店を探しにくくなるんですよ」

舞さんではない別の女性ですが、マッチングアプリのやり取りを見せてもらったら男性から「好きな食べ物は何ですか?」という質問に「卵を使った料理」と素材で答えていました。

決して間違ってはいないし卵料理の専門店もなくはないけれど、デートの計画のことだけを考えたら、イタリアンとかグラタンとか、具体的なジャンルや料理名で回答したほうがお店は探しやすいのかも。

何のための質問なのか、その意図を汲み取れない方々にとって、まず必要なのはデートの話題以前に「雑談力」だと思います。一朝一夕で身につくものではありませんが、自覚をすることは大切です。

※個人が特定されないよう一部脚色してあります。

<取材・文/菊乃>

【菊乃】

恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt