石川県七尾市の寝具店「Sleepinn(スリープイン)」は、不要になった羽毛製品をリサイクルする「Green Down Project」で得られる買取金額を義捐金として、能登半島地震で被害を受けた和倉温泉観光協会へ寄付するため、全国から不要になった羽毛布団を募集している。

羽毛は100年使える貴重な資源

ダウンはしっかりと手入れすれば長期間に渡り使い続けられる天然の資源だが、食生活の変化や鳥インフルエンザなどの影響により供給量は減少し不安定になっている。「Green Down Project」では、その限りある資源であるダウンをリサイクルすることで、地球に優しい循環型社会の実現を目指している。

一枚の羽毛布団を製造するのに水鳥約200羽分ものダウンを使用しているので、リサイクルすることは希少な天然資源の保護に繋がる。また、羽毛はハードケラチンというタンパク質でできており、燃やすと二酸化炭素が発生するため、燃やさずにリサイクルすることで二酸化炭素の排出を抑制することもできる。

廃棄される羽毛布団は年々増加中


現在、羽毛製品は日本国内において広く普及しており、新規羽毛布団の販売枚数は毎年320万枚。羽毛布団の寿命は10~15年といわれており、寿命が尽きたものの多くは粗大ゴミとして焼却処分されている。その中には、まだまだ十分に使えそうなグレードの高いものも含まれており、「スリープイン」は焼却処分をしてしまうのはもったいないと感じていたという。


能登半島地震では、およそ5万5000棟の住宅が全壊・半壊となっており、災害廃棄物240万トンの中には羽毛布団も含まれているものと考えられる。そこで、羽毛リサイクルを通じて復興に繋がれば、人にも環境にも優しい取り組みとなるのではと考え、この事業をスタートさせることとなった。

新毛と同じ手順で加工して再生


引き取った羽毛布団は、同店が加入している「Green Down Project」を通して回収・解体・洗浄され、羽毛布団はもちろん、ダウンジャケットやシェラフなどの羽毛製品に生まれ変わる。なお、作業の一部は、障がい者施設にて行っている。

Green Down(リサイクルダウン)は、新毛と同じ手順で除塵・洗浄・乾燥・選別を行い、不純物を取り除く。これらの工程を2回行うことで、一般的な新毛を上回るキレイなダウンが出来上がる。新毛の基準値を上回る厳しい羽毛洗浄度検査を経ているので、安心して使うことができる。