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We must be free!をテーマに、様々な女性のストーリーをご紹介するインタビュー連載「家族とキャリアと私」。ひとりひとりの人生にフォーカスし、女性のあらゆる選択と生き方を肯定する人気シリーズです。

第4回のインタビューは専業主婦のYさん

『PRIME』より引用
(画像=『PRIME』より引用)

Yさんは、今では珍しい20代の専業主婦。文系の大学院を卒業後に現在のパートナーと結婚し、家庭を支えています。

Yさんは大学を首席で卒業後、大学院に進学し留学経験もある優秀な女性です。

社会でキャリアを築くという選択肢もあったYさんが専業主婦になる道を選んだ理由を是非お聞きしたいと思い、インタビューに協力していただきました。

<ライタープロフィール>

ナギユリ
20代前半/大学に通いながらインターンとしてPRIMEの取材や編集を担当/まだ結婚について考えたこともないけれど女性の生き方をはじめ、文化社会学、ジェンダーに関心があり大学で専攻中

結婚のタイミング、就活での挫折、コロナ禍…様々なことが重なり専業主婦になることを決意

『PRIME』より引用
(画像=『PRIME』より引用)

Yさんは大学院に通いながらパートナーと結婚。卒業後にパートナーのご家族と同居を始め、専業主婦になりました。

ー大学院に通いながら結婚するのは珍しいと思うのですが、Yさんがパートナーと学生結婚をするに至った理由を教えてください。

色々なタイミングが重なって結果的に学生結婚になりました。留学前にプロポーズはしてもらっていて、両家挨拶も済ませていたので、その時に「結婚するならこの人!」って思っていました。留学から帰国して、修士論文も書き終えていたので、就活ものんびり時間かけてやっていこうって思っていたところに、「今年(2020年)の良い夫婦の日は大安らしいよ」って感じで籍を入れることになりました。

結婚の決め手は、「私が”今の夫と一緒にいる時の私”が精神的に誰と居るより安定してて好きだったから」です。毎日一緒に居ても予想外の言動をしてくるところも、この先一緒に居て楽しそうだな、辛いことがあっても一緒に乗り切れそうだなと思いました。

ーお話を聞いていると、タイミングが合った運命的な結婚!という感じがして素敵だと思いました。では、パートナーと結婚したら専業主婦になりたいと前々から考えていたのですか?

専業主婦になるつもりは全くありませんでした。夫から「専業主婦になってほしい」と言われていた時もずっと嫌だと言っていましたし、自分の性格的にも将来はバリバリ働くと思っていました。

ーではなぜ専業主婦になることを決めたのですか?

希望していた仕事の採用試験に落ちてしまって。その時にあまり他の仕事に興味が沸かなかったんです。

学生のうちに結婚したこともあって、働くのはゆっくりでもいいかなと思いました。

また、コロナ禍で就職も厳しい時期だったことや、卒業後は夫の両親と同居する予定だったことも大きいですね。自分が正社員として働くと、義父母に家のことを全部やってもらうことになるので、自分の優先順位的に正社員として働くのは違うかなと思ったんです。だから、今のところは友人の飲食店で週に3日程度アルバイトをしています。

ーご友人から誘われてアルバイトをはじめたんですね?

はい。飲食店を経営する会社で働いている友人から「人手が足りないからアルバイトをしないか?」と声をかけていただいて…でも自分のためだけに使えるお金も欲しかったですし、毎日ずっと家にいるのは無理だと思ったのもあって、外に働きに出たいなとは思っていたので丁度良かったです。

ーそうでしたか。大学院に進学するほど優秀なYさんであれば引く手あまただっただろうに、なぜ専業主婦になったのか凄く疑問に思っていました。

引く手あまたかはわからないけど…(笑)

大学院への進学は教授からも勧められましたし、優秀だと褒めてくださる先生方もいました。

しかし大学院に行ったからといってすぐ会社で使えるスキルがあるわけではありません。

私が大学院で学んだ内容は専門性が高く、この分野の知識を活かして働いている人は少ないんです。先輩や後輩を見ていても大学院卒はかなり就職難になると感じました。私もたまに「あれ…?こんなはずじゃなかった…」と思うことはあります(笑)

働く意志はあったものの、社会情勢や同居という様々な事柄が重なって専業主婦という道を選んだYさん。文系の大学院生が就職しづらいという現状も見えてきました。また、アルバイトをしなくても良い生活で、アルバイトをするという選択をした背景には、ただお金を稼ぐのではなく「家にずっといる生活」からの開放という側面もあるようです。