cover interview 土屋太鳳

マッチングアプリによって増えた出会い。 その裏に仕掛けられた“罠”の恐怖を完全オリジナルで描く新感覚サスペンス・スリラー『マッチング 』。 「辛すぎて自分が消えそうだった」と撮影を振り返る、 主人公の輪花を演じた土屋太鳳さんのインタビューをお届けします。

Profile

1995年生まれ。2005年、スーパー・ヒロイン・オーディション「MISS PHOENIX」で審査員特別賞を受賞し、芸能界入り。2008年『トウキョウソナタ』でスクリーンデビュー。NHK連続テレビ小説「おひさま」や「花子とアン」に出演し、2015年「まれ」でヒロイン役を射止めた。映画『兄に愛されすぎて困ってます』、『8年越しの花嫁 奇跡の実話』、『わたしの幸せな結婚』など出演作多数。

ありえないような辛さも現実にありうるかもしれない。そう思えてしまうのが怖い

最近では出会いのツールとして定着しているマッチングアプリ。本作『マッチング』はそんなマッチングアプリによって増えた出会いの裏に仕掛けられた罠、身近に潜む恐怖を描いた作品だ。

「私の周りでもアプリで出会って結婚したという方もいらっしゃいますし、恋愛だけでなく就活でも企業とのマッチングアプリがあると聞きました。ご縁を繋ぐマッチングアプリは時代に合っている出会い方のひとつだと思います。でも“相手が本当はどんな人かわからない”という点には気をつけなければいけないなと思いました」

そう話すのは主演の輪花を演じた土屋太鳳さん。撮影を振り返ると「許せないなと思う登場人物や出来事があまりにも多くて辛過ぎました」という感想が。

「次から次へと辛いことが起こるんです。“こんなに悲しい人生ある!?”というくらい辛いことの連続なのですが、なぜかどこかわからなくもない。現実にありうる物語なのかもしれない、そう思えるのもこの作品の魅力でもあり、怖い点なのかもしれないですね。これまでは暗い役を演じるときも自分の中に少しでいいから光を持つようにしていました。でも、今回の輪花には全然光が見つからなくて、目の前で起こる出来事の一つひとつに向き合うのが必死という感覚。撮影が終わっても、しばらくその“闇”のようなものに引きずられてしまう瞬間があって心配されるほどでした」

演技で注目して欲しい点を伺うと「まばたき」というお答えが。

「今回あまり役作りはしませんでした。というのは、どんどん辛いことが起こってしまう主人公ですが、ごく普通の子なんです。プライベートで辛いことがあろうが、疲れていようが、明日にはまた会社に行って笑顔で挨拶して...。人はあまりにも辛いことが起きたり、疲れすぎるとまばたきがゆっくりになると思うんです。まばたきをするのも忘れるというか...。なので、輪花の視線やまばたきに注目してもらえるとより心情がわかってもらえると思います」

マッチングアプリのようにプロフィール画面だけで人を判断するのはなかなか難しいもの。そこで土屋さん独自の判断基準を教えてもらうと。

「その場にいない人の噂話をしたり、すぐ“わかる!”と言ってくるような人はあんまり信用できないかな...。あとは人によって態度を変える人も無意識に避けてしまうかもしれないですね」

マッチングアプリのみならず、もはや日常に欠かせないものとなっているSNS。土屋さんのSNSとの付き合いかたを伺うと。

「実はあまり見ないんです。なので、インスタのコメントへの反応も遅くてごめんなさい...。SNSやネットのニュースって、履歴をもとに自分の嗜好に合う情報が表示されてしまう部分もあると思うので、できるだけ新聞を読んで自分で情報を集めるようにしています。あとは、スマホを見てばかりいると母の言葉を思い出すんです。「あーあ、携帯見てる間に素敵な景色が外にあったのにな」って。最近はスマホを持たずにお散歩に行って、街並みや人を眺めながらお散歩する時間がとっても幸せです」

最後に、“知らなかった方が幸せだった”ということが次々に起こる本作。そこで土屋さんにも知らなかった方が良かったことを伺うと、「コレ!」とスタジオにあったポップコーンを差し出してくれた。

「このブラックペッパーのポップコーン、見た目は普通のポップコーンなのに、ものすごくペッパーが効いていて!食べるたびにむせてしまうのに、美味しくて手が止まらなくなります。この味、知らなければ良かったです(笑)」取材陣に「食べてみて!」と、ポップコーンを差し出してくれる土屋さん。この無邪気な可愛らしさと凛とした美しさこそ彼女の魅力。そんな土屋さんも今年で20代最後というから驚いた。

「30代はちゃんと自分で何かを生み出したり、作り出せる人になりたいです。与えられるのを待っているだけでなく、自分でどうするか考えて動ける、いろんなことに挑戦できる30代になりたいです。そして、30代までに老若男女誰もが楽しめるシリーズ作品...そう、『相棒』のように長く愛される作品に出てみたいという願望があります。それを目標に20代最後の年もがんばります!」