新型コロナウイルスは世界中の経済に大きなダメージを与え続けています。内閣府が2020年7月30日に公表した「令和2(2020)年度内閣府年央試算」によると2020年度の実質GDPはマイナス4.5%でした。また「2020年4~6月四半期別GDP速報(2次速報)」によるとGDPは前年同期比28.1%ダウンです。こうした「逆風」とも言える状況下でビジネスチャンスを見出している人もいます。そこで今回は、困難な状況下でビジネスチャンスを掴むための考え方として、「逆張り戦略」を考察してみます。
逆張り戦略とは何か?
「逆張り戦略」とは、下落傾向にある銘柄をあえて購入する投資戦略の一つです。逆張り戦略のメリットは、「欲しかった銘柄をお得な価格で購入できる」「価格が持ち直して反発したときに売却することで利益を得られる」などが挙げられるでしょう。
ただ、逆張りをする投資家は「安くなったから買おう」という単純な判断をしているわけではありません。むしろ企業の業績や取り巻く環境を考慮して取引価格が明らかに適正価格よりも低いと判断したからこそ購入を決めるのです。
つまり価格が再上昇に転じる明確な根拠があるからこそ、大多数の意見とは異なる逆張りを恐れることなく行えると言えるでしょう。ネガティブな情報が多いなかでも状況を徹底的に分析してチャンスを探すのが逆張りの特徴です。
コロナ禍の影響により、さまざまな分野でネガティブな変化が生じていることを考えると、今はまさに逆張りをする絶好の機会と言えます。
高価値のものを安価で手に入れるチャンス
コロナ禍による影響を「価値のあるものをより安く手に入れるチャンス」と考える人は少なくありません。例えば多くの観光地では訪問客が少なくなったため、ネットを介して地元の名産品をお得な価格で販売しています。交通費をかけず配送料を含めても本来の価格より安くおいしいものが手に入ることはポジティブな面と言えるでしょう。
ビジネスにおける逆張り戦略の具体例を見てみよう
逆張り戦略の具体例として「外食産業」が挙げられます。外出自粛や営業自粛要請により閉店に追い込まれた店舗は少なくありません。そのため今この時期に外食事業を立ち上げるのは無謀と多くの人が感じるのではないでしょうか。一方、逆張り戦略を狙う人は、立地条件の良い居抜き物件を借りるチャンスと見なします。
店内の改装や什器の購入費用がほとんど発生しないため、飲食店を開くには絶好の機会と捉えているのです。巣ごもり需要が増えているなか、デリバリー販売をメインとしている事業者にとってはまさに逆張りのチャンスと言えるでしょう。
状況に対応するための2つの方法
働き方だけでなく生活スタイルそのものも大きく変化しておりこの流れを止めることはできません。ただ「社会の変化をどう捉えるか」という点に関しては個人の問題です。つまり「危機と捉えるか」「チャンスと見なすか」は自分次第です。
では、どうすれば変化に対して積極的な態度を持つことができるでしょうか。ここでは2つの方法について解説します。
- スキルを生かして副業に取り組んでみよう
- 対応力とリスクマネジメントスキルを培おう
1.スキルを生かして副業に取り組んでみよう
テレワークの普及に合わせ自分のスキルを活かしてオンラインで副業をする人が増えています。例えば語学力を生かしてZoomを介したビデオ会議の通訳や外国語の講師を始めた人は少なくありません。またピアノや料理など、これまでは対面で教えるのが当たり前とされていた分野のレッスンをオンラインで提供している人もいます。
2.対応力とリスクマネジメントスキルを養おう
コロナ禍による変化を「対応力を培うチャンス」と見なしましょう。対応力とは、事前の計画通りに物事が進まない場合でも慌てず必要な調整を行って本来の目標を達成する能力のことです。臨機応変に対処する能力を養うことができれば、ビジネスパーソンとしてさらに成長することができるでしょう。
そこでリスクマネジメント能力も伸ばすことを考えましょう。リスクマネジメント能力とは、アクシデントが生じると想定して対応策を用意しておくスキルのこと。
「コロナの影響で従来の方法では対応できない」というビジネスシーンが増えています。そうした場面でリスクヘッジを取ることを学ぶ機会と捉えられるかどうかがカギとなるのです。