武蔵が「山猫」の正体を突きとめなければ、残り4時間で人質もろとも爆破されてしまう絶体絶命の危機。すでに「獣」のリーダー格である龍(高橋メアリージュン)の正体は明かされているが、まだ真相には奥がありそうな気配が漂う。武蔵はさくら(ソニン)に隠れながら、かながわ新空港の社長・天童(黒沢あすか)の拘束を解く。天童は山猫の存在を知っており、拘束を解く代わりに正体を教える、という取引をしたのだ。

 人質の命が握られる絶体絶命のなか、制作陣の遊び心には驚かされた。天童を連れた武蔵は、さくらたちを撹乱するためにSNSで偽の目撃情報を拡散させる。アカウントのユーザー名やIDには「山風」(嵐)、「Happiness」(嵐のシングル)、「3961440」(さくらいしょう)、「onelove」(嵐のシングル)など、完全に「嵐ネタ」。これには視聴者も大騒ぎだったようだ。

 天童が語るところによれば、「山猫」の正体は陸奥哲夫という男で、新空港建設に関わった有力者だった。しかし、10年前にこの男は病死。では、「山猫」はもう存在しないのか。いや、そうではない。陸奥の死後、山猫の代役として暗躍していた男がいた。それが人質の一人・北見(手塚とおる)だった。政界の力を使って影響力を引き継いでいたというわけだ。

 武蔵は北見を追及し、北見は自分が山猫であることを認める。獣の集団がこだわる男の正体が明かされたわけだ。ここまで山猫の正体が視聴者の注目だっただけに、あまりにもあっさりして肩透かし、とも言える。盛り上がりに欠ける展開だが、話は簡単にはいかない。同作品が始まって以来、ずっと拉致されている武蔵の妻、裕子(比嘉愛未)と、彼女を拉致したり助けたりする「獣」の鼠である大河(ジェシー)が、隠し持っていたデータを解析。その中から、思わぬ情報に行き着く。そしてこうつぶやくのだ。