その後、エピソード発表の際にも女性ならではの生活感あふれる愚痴で他のゲストとの差別化を図ったり、高岡の突然のフリに対して、ますみが瞬時に上沼恵美子のモノマネで返すなど、終始安定した立ち居振る舞い。ますみだけでなく、相方の竹内知咲は名曲「木綿のハンカチーフ」の歌詞を独自の解釈で斬りまくって爆笑を誘い、そのまま番組のトリを取った。
天才ピアニストといえば結成から数年で、ますみの恵美ちゃんモノマネでプチブレーク。当時はますみばかりが注目を集めていたが、徐々に竹内の書くネタの評価も高まり、昨年『第52回NHK上方漫才コンテスト』『第6回女芸人No.1決定戦 THE W』で優勝。今年1月には『第8回上方漫才協会大賞』も制するなど、賞レースを総なめし、波に乗っている。『キングオブコント2023』こそ準決勝で敗退したが、漫才、コントとも若手の中で最高水準に達していることを証明しているコンビだ。
加えて今回の『DX』では、平場の強さも存分に発揮した。三四郎・小宮浩信、ウエストランド・井口、伊集院と、愚痴や不平不満をトークに昇華する技能については超のつくスペシャリストがそろった収録で、トリを取って見せたのだ。
平場でもメークや髪形を変えることなく、瞬時に自身と上沼恵美子を行き来できるという特殊能力を授かったますみと、そのますみの使い方を誰よりも熟知しつつ、自分でもシュートを決めることができる竹内。
現在、ヒコロヒーや3時のヒロイン・福田麻貴を筆頭に女性芸人の活躍に沸く在京バラエティだが、ここに彼女たちが乗り込んできたらどんな化学反応が起こるだろうか。
(文=新越谷ノリヲ)