更年期を経験した元ピチカート・ファイヴのボーカリストでシンガーの野宮真貴さん(プロフィールは文章末尾に記載)にインタビュー。更年期のエピソードや心構えについて語っていただきました。これから更年期を迎える人、今まさに更年期に悩んでいる人に寄り添う頼もしく真摯なメッセージ、必見です。
■いよいよ突入した更年期。汗で仕事に取りかかれないことも
——更年期を自覚するようになったのはいつごろですか?
まず40代後半に、小さな字が見えにくくなり老化現象を自覚しました。そのころから生理周期が乱れてきて、貧血の症状も出てきましたね。「そろそろ更年期に突入なのだろう」と覚悟しましたが、はっきり自覚したのはその後ホットフラッシュの症状が出たときです。
もともと汗をあまりかかない体質だったのですが、スタジオに着くと汗が吹き出し、少し時間をおかないと仕事に取りかかれないということもありました。正直に伝えて、汗が引くまで待ってもらっていましたね。また、夜ベッドに入る前に首の後ろがカーッと熱くなるのを感じたこともあります。
——ホットフラッシュ以外に悩まされた症状はありましたか?
当時は頻繁にパーティーのお誘いがあり、できるだけ出席するようにしていたのですが、メイクもしてドレスに着替え、「さぁ、出かけよう」というときに急に人混みに行くのに気後れがして、ドタキャンなんてこともありました。当時はそうとは思っていませんでしたが、今思うとそんな心のゆらぎも更年期のせいだったかもしれません。
あとは、朝起きてベッドから立ち上がるときに、かかとに痛みを感じることも。ドライマウスになって、レコーディングのときにリップノイズが気になるようにもなりました。
■心身の不調を支えてくれた「植物療法」と「MY婦人科」
——野宮さんは体の不調を改善するにあたって植物療法(フィトテラピー)の勉強を始められたそうですが、どういったものなのでしょうか?
フィトテラピーは、植物が持つ薬理効果を利用して、症状を緩和させる療法です。植物のなかには女性ホルモンに似た作用を有するものがあり、更年期の心身の変化を穏やかにしてくれるんです。私はホットフラッシュに悩まされていたころに、ペパーミントのエッセンシャルオイルから手作りしたクールダウン用のスプレーを使ったりしていました。
フランスでは、街の植物薬局(※1エルボリステリア)でサプリメントが簡単に手に入るので、パリへ行くたびに購入して飲んでいましたね。今では日本でも簡単に手に入れることができますよ。ハーブティーやチンキ剤、アロマなどで取り入れる方法もあります。
※1:ヨーロッパの人々の暮らしに根ざしている、ハーブ薬局。身体の不調を感じたとき、相談に行くと植物の知識が豊富な薬剤師が親切丁寧に個人個人に合ったハーブやケアを提案してくれる。
——ほかにも症状を改善するために実践していたことがあれば教えてください。
エストロゲン(※2)に似た作用のある大豆製品を食べたり、、細胞や血管の若返りのためにオメガ3(青魚、くるみ、亜麻仁油など)、ホルモンを作る材料になるオメガ6(紅花油など)は体内で作り出せないので意識して取るようにしています。
それから一番大切なことは、信頼できる「MY婦人科」を持つこと。ホルモン療法や漢方薬を組み合わせたりと、さまざまな提案をしてくれます。私もかかりつけの婦人科に定期的に通い健康管理をしています。
婦人科は更年期に限らず、思春期から老年期まで幅広い世代の女性が健やかに幸せに暮らすためのアドバイスをしてくれるところ。思春期の女の子を持つ方はぜひ一緒に行ったり、信頼できる情報をシェアしてあげることをおすすめします。
※2:女性ホルモンのひとつ
■更年期は、誰にも訪れる「第二の思春期」
——更年期障害は、周囲の理解を得ることで避けられる苦しみや悩みがあると思います。野宮さんは、症状の悩みを打ち明けられる相手は身近にいらっしゃいましたか?
夫とは一緒にフィトテラピーを学びましたが、同世代の女性同士ではあまり話題にならなかったのが不思議でした。同級生に質問をしても、更年期について話すのはタブーのような雰囲気がありましたね。
——今でも更年期にまつわる不調は、話題にしづらい「デリケートなもの」という空気があるように感じます。どうすればもっと気軽にシェアできるのでしょうか。
更年期は女性ホルモンが激変するので、第二の思春期とも言われます。心身がゆらぐのは仕方がないこと。思えば、思春期の息子が急に口を聞かなくなったり、イライラしていたときには「これは君のせいじゃないよ。ホルモンのせいだよ」と息子にも自分にも言い聞かせ、その時期が通り過ぎるまではそっとしておきました。
更年期もそれと同じ。時期が過ぎれば、さまざまな不調からは開放されます。そのことを周りにも理解してもらうことが大事だと思います。
今は、渡辺満里奈さん(50)、松本孝美さん(55)、私(60)という5歳違いの3人で「大人の女史会」を結成して、活動を開始したところです。「ひとりで悩んでいないでみんなで解決!」をモットーに、女性の身体や心のこと、更年期のことなどを、同じ悩みを抱えている女性に発信していけたらと思っています。
■女性であることをあきらめないで。ポジティブな更年期を送るための視点
——更年期の前後で、大きく変わったと実感されていることがあれば教えてください。
更年期とは、生理が止まり子供を産める身体ではなくなるというですから、そういった意味での女性としての寂しさというか、喪失感が私にはありましたね。それはしょうがないことなんです。でもそれは一方で、”子供を産む役割を持った女性の性”から解放されることを意味します。
また、来るべき老い、そして死を意識することで、「今を大切にすること」をこれまで以上に学ぶことができました。これまで自分は何を大切にして生きてきたのか、そしてこれから何を目指して生きていくのか。更年期は、それを考えるためのかけがえのない時期だと思います。
ほかにもおしゃれの観点からいうと、更年期を過ぎるころにはこれまで難しかった派手なアイテムが似合うようになります。トーンの落ちた髪や肌には、ダイヤモンドや赤い口紅が似合うんですよ! 白いパンツもいつでも着られますし、おしゃれな老眼鏡がファッションアイテムに加わります。
そうやって更年期による変化をポジティブな視点で見ていくことが大切ですし、それが女性として成熟するということだと思います。
——これから更年期を迎える方、今まさに症状に苦しんでいる方にアドバイスをお願いします。
更年期は、「自分の身体がどう変化するのだろう」ととても不安ですよね。でも安心してください。更年期のトンネルを抜けたら、女性ホルモンに左右されず気分が安定し、新たなステージを謳歌できるときが来たと実感できるものです。それまでどうか、ご自身の身体を大切にしてほしいと思います。
一番大切なことは「女性であることをあきらめる必要はない」ということです。加齢や老化、更年期に押しつぶされて、“女性”であることの楽しみや喜びをあきらめない。
これからも人生はまだまだ続きます。美しく健やかに幸せに生きることを願い、好奇心を持って楽しみながら暮らしていけば、おのずと成熟した素敵な女性になれると信じています。
◼︎野宮真貴さんのプロフィール
歌手、ミュージシャン。ピチカート・ファイヴの3代目ボーカルとして、90年代の渋谷系ムーブメントを巻き起こす。現在も圧倒的な存在感と歌唱力で、音楽業界に留まらずカルチャーやアート、ファッションなど多方面で活躍中。
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