◆実家の“にゃんこ保育園”で社会性を学習!
「実家の“ニャンコ保育園”には元野良の保護猫が4匹います。夕方に迎えにいき、『お家に帰ろうか』と言うと、『イヤー』『ヤダー』みたいに聞こえるおしゃべりをしてダッシュで逃げます。家から実家に行く時も同じ。保育園児のイヤイヤ期みたいです(笑)」
小さな頃は甘噛みがエスカレートして本噛みとなり、飼い主さんが流血してしまうことが日常茶飯事でしたが、蘭姫ちゃんはニャンコ保育園で猫社会を学んだようで噛む強さが変化。
「興奮して本噛みになっても、流血することはなくなりました。最近では痛いと言うと、我に返り、噛んだ部分をペロペロ。ごめんなさいと言ってくれているみたいです。成長しました」
その一方で、お転婆な性格は変わらず。ニャンコ保育園では平面を使わずにキャットタワーを駆け上がったり、好きなおもちゃを目にした途端、キャットタワーからムササビのように飛んできたりと遊びを満喫。
そして、おうちで飼い主さんと過ごす時はどこに行くのにもついてくる家庭内ストーカーに。例えば、トイレに行くと、部屋の中から泣き叫ぶように呼び続け、部屋に戻ると足にスリスリ。
「ケージ上や冷蔵庫の上から、人間の行動を観察していることもあり、私が会社の制服を着ていると、出かけると理解し、すんなりハウスしてくれる。賢い子です」
なお、知的な蘭姫ちゃんはソファーを爪とぎしてはいけないものと理解しているようで、飼い主さん宅のソファーはほぼ無傷。
「子猫の頃から噛んでいたスツールは今でも、私と目が合うと、わざとバリバリして構ってアピールをします(笑)。でも、お転婆に見えても、ラヴィはお利口さん。自分の命よりも大事なのは当然ですが、職場で嫌なことがあっても、その気持ちを全て吹き飛ばしてくれるほど、癒される存在です」
◆幸せなにゃんこしかいない世界になってほしい
そう語る飼い主さんは家族の保護活動を通し、たくさんの保護猫を目にしてきたからこそ、ひとつひとつの命の重みをもっと大切に受け止められる人が増えることを願っています。
「どの猫も飼い主次第で、猫生が変わる。育てられない、言うことを聞かないなどの身勝手な理由で保健所に連れてったり、遺棄したりする人もいますが、人間の都合で命を簡単に増やしたり、殺したりしていいわけがない。
猫種にこだわってブリーダーやペットショップで猫を買うよりも、譲渡会の子や殺処分寸前の命を繋いでほしい。殺処分ゼロが達成され、虐待をする人間の餌食にならず、幸せなにゃんこしかいない世の中になってほしいです」
うちの子は血統書もないし、こだわって大金を払って買った子でもないけれど、全力で愛して甘えさせ、幸せにしてあげたい。そして、いつかやってくるお別れの時、「このお家に拾われて幸せだった」と思ってもらえるような愛し方をしていきたい。
そう思いながら、飼い主さんは蘭姫ちゃんのニャン生を背負っていきます。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291