◆基本はリアクションの演技

『スカム』公式サイトより
『スカム』公式サイトより
 杉野遥亮を考える上で重要なことはふたつある。まずひとつ目は、相手の俳優の演技を反射する鏡のようなリアクションだ。もっとも顕著な作品は、連ドラ初主演作にして、詐欺に手を染める闇の営業マンを演じた『スカム』(MBS、2019年)だ。

 なんてことはない場面でのさり気ない一瞬のやり取りだが、よく目を凝らしてみよう。

 主人公・草野誠実(杉野遥亮)に怪しい高収入アルバイトを紹介してきた親友の田中祥太郎(戸塚純貴)との会話。杉野は、戸塚の話に耳を傾けてコミットするようにうなづく。

 これは上手いなと思った。相手俳優の感情を鏡のようにうまく反射させる。そうして自分はここぞというタイミングでリアクションする。相手への理解が基本だから視聴者にとっても親しみがある。

 杉野はこうしたリアクションの演技によってスタイルを確立している。