お金に関する価値観や考え方は、時代の変化とともに変わっていきます。親世代が生きた昭和といまの令和時代を比べると、具体的に何が変わったでしょうか。4つ紹介しましょう。

■①貯蓄より投資

親世代の中には「投資はギャンブル」だと言い、絶対にするべきではないと子供に言い聞かせていた人も少なくありません。しかし、老後不安が高まり続ける中、いまでは日本政府も「貯蓄から投資へ」をスローガンに、国民に資産運用を推奨するようになりました。

昔は普通預金や定期預金の金利が高かったため、銀行に預けるだけで資産形成ができましたが、いまは低金利時代で銀行預金ではほとんどお金が増えないことも背景にあります。

■②お小遣い制から財布別制へ

かつて夫は給料袋を妻に渡し、妻はその中から夫に現金でお小遣いを渡すという「お小遣い制」が当たり前でした。しかし共働き世帯が増える中、最近ではお小遣い制ではなく「財布別制」を採用する家庭も増えています。

家賃や光熱費などが引き落とされる共通口座をつくり、夫婦それぞれが毎月一定額を入金し、それ以外のお金はおのおのが管理するというやり方です。

■③現金よりキャッシュレス

昭和生まれの親世代で、クレジットカードや電子決済に拒否反応を示す人は少なくないでしょう。昭和時代はほぼ現金しか出回っておらず、キャッシュレス決済に比べ現金に対する信頼度が圧倒的に高かったのは事実です。

しかし、キャッシュレス決済の便利さやポイントが得られることなどが浸透し、昭和から令和へと時代が変わる中で「現金よりキャッシュレス」と考え方が変わってきました。

■④モノより思い出

令和になって「コト消費」というワードを急に多く耳にするようになりました。モノを購入するのではなく、オンラインゲームやソーシャルメディアなど、体験を楽しむための消費をそう呼びます。

昭和の高度経済成長を通じ、日本は飽きるほどさまざまなモノで溢れる国になりました。そうした時代を経て、人々は徐々にコト消費による精神的な満足感を大切にしたいと考えるようになりつつあります。

■大事なのは考え方のアップデート

この記事で紹介した昭和のお金の価値観や考え方を読み、思わず「古っ!」と叫んでしまったあなた、数十年後は令和の考え方、すなわちいまのあなたの考え方も時代遅れになっているかもしれません。

大事なのは、常にお金に関する自分の考え方をアップデートすることです。時代に取り残されないよう、自分より若い世代の考え方ややり方を、積極的に取り入れていきましょう。

文・岡本一道(政治経済系ジャーナリスト) 国内・海外の有名メディアでのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会などさまざまなジャンルで多数の解説記事やコラムを執筆。