第3話のクライマックスで、『ギフト』を悪用して医療界を駆け上がろうとする白鳥と郡司に脅され、妻を守るために加担し続けるべきか、それとも正義を貫くべきか葛藤し、精神が崩壊した藤巻。自ら『ギフト』を服用して命を絶とうとする藤巻を止めたのは、同僚の検査技師の久留米(波瑠)だった。久留米は危険をおかしてでも藤巻の研究に協力しようとするワケを「藤巻に好意があるから」とまさかの告白。これを愛の告白として受け、取り繕う藤巻だったが、久留米が抱いていたのは不器用ながらも意志を貫こうとする“人間性”が好きだというまさかのすれ違い。気弱な藤巻と毅然とした態度を崩さない久留米。その後の久留米の舌打ちシーンなど、藤巻が尻に敷かれているコメディシーンはシリアスな展開の多い本作品のアクセントとなっている。
白鳥が第4話では犯行に及ばなかったのには驚いた。前話で医学系大学連合会議の副議長・大泉篤(西岡德馬)を郡司に殺害させ、院外にも魔の手を伸ばしていくと思われた。だが、病院の労働環境・医療環境の改善、医学系大学連合会議の気風改善など、いわゆる医療界の悪玉・老害を排除したうえで“善人”としての改革を実行した。『ギフト』を悪用することには反対だが、その改革の成果自体には諸手をあげて評価する藤巻。もし藤巻が「改革には犠牲が必要」という白鳥論に傾くとしたら……、ちょっとした弾みでダークサイドに堕ちる可能性はあると思う。
既出の“ヤバイ人物”は郡司に他ならない。白鳥の研究室から『ギフト』を持ち出し密売した事務長・本坊(筒井道隆)が事の発端。本坊は暗殺志願者をクライアントにもつ闇のブローカーに捕らわれ、『ギフト』の偽物を渡した後悔の念にかられた藤巻は単身本坊を助けに行く。そこで藤巻を待ち構えていたのが郡司だった。郡司は大病院で培った処世術・交渉術を駆使して闇のブローカーの懐に入り込み、乾杯の酒に加えた『ギフト』で闇のブローカーをあっさりと始末する。郡司が『ギフト』で殺害した人物は3名と登場人物でも最多に。そして興奮気味に郡司は叫ぶ。「白鳥を潰す」「おれが理事長になる」と……。
郡司が藤巻の教授就任に嫉妬心をあらわにしていたことから出世意欲は強いと思われたがまさかここまでとは。白鳥への下剋上を果たすにはやや冷静さに欠ける印象だが、『ギフト』の培養役である藤巻と病院全体の管理番である本坊を味方にしたアドバンテージは大きいだろう。藤巻にとっては、久留米が『ギフト』研究に関わっているのがバレたことは相当な痛手でありさらに身動きがとれない状況となった。