さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は試用期間についてのトラブルです。

Q. 告知もなく試用期間の延長で給料が安いまま。このままずっと引き伸ばされない?

私の会社は入社すると試用期間があり、3ヶ月の間は給料が安く設定されています。それを承知した上で入社をし、4ヶ月経過したのですが未だに試用期間の時の金額で振り込まれていました。

これについて人事に聞いてみたところ、「試用期間延長しているので問題ない」と言われましたが、特に事前の連絡もなく延長されていました。延長すること自体は違法ではないのは知っていますが、勝手に延長されるのは問題なのかなと思います。また、このままずっと延長され続けられるのではないかという不安もあります。(千里/31歳/エンジニア)

A. 就業規則・労働契約書の記載を確認してみよう

多くの会社で、試用期間が設定されていることが多くあります。3ヶ月の間は給料が安く設定されてる期間は長期に感じるかもしれませんが、実は、試用期間中に定まる労働条件は、正式採用後のそれと同一であると考えられているので、就業規則の規定を確認したうえで、就業規則・労働契約書の記載を確認する必要があります。

千里さんの業界は、エンジニアですから、ちょっとブラックな企業も多いのは事実なので、しっかり確認しておいたほうが無難ではないでしょうか。実際にあったケースでは、募集・採用の時点で賃金が明らかではなく、かといってその試用期間中であることの明示もなく、入社後に試用期間中は賃金が低くなるという取り扱いがありました。

千里さんの場合、もともと一応の明示があったのかもしれませんが、就業規則や個別の労働契約の内容に反しているのであれば、労働条件の不利益変更といって、法的に問題になるのです。