中国山東省・青島市での新型コロナ感染対策が話題です。再拡大の続く欧州に比べれば感染者数はごくわずかともいえますが、なんとたった5日間で950万人ものPCR検査を実行したというのです。

本当にそのようなことが可能なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

5日間で1,000万検体

青島市は人口約950万人(2019年)、東シナ海に面し、農業、工業、貿易、観光業の盛んな現代都市です。1月以来の新型肺炎感染者は70名にも達していません。それが10月11日、6名の感染を確認すると、「全市民950万人のPCR検査を無料で行う」と発表したのです。

そして、わずか5日間で本当に実行してしまいます。まず医療機関のすべてのスタッフ、入院患者とその家族など185万人のPCR検査を済ませ、出稼ぎ労働者54万人もすべてカバーしました。この中には、新規の陽性者はいなかったもようです。

大手ニュースメディア「騰訊網」によれば、企業や公共機関へは出張検査チームを派遣、大規模マンション等には臨時の検査所を設置したとのこと。10月17日までに調べた検体数は、短期滞在者も含め1,092万に上りました。そして当日中か翌日には結果を通知しています。

スピード検査を可能にしたアプリの存在

なぜこのようなスピード検査が可能だったのでしょうか。

中国では、防疫体制の敷かれた2月以降、健康嗎(健康コード)というアプリが普及しました。これは感染リスクを申告や行動履歴に基づいて、緑、黄、赤の3色で表示するものです。路線バスに乗る際には緑色の証明が必要です。

当局による個人情報の把握が新型肺炎により一段と進んだことは否めませんが、これが今回のスピード検査に役立ったとみられています。