多くの人は年収1,000万円に達したとき、優越感や幸福感を感じます。しかし、年収1,000万円は不幸の始まりにもなり得ます。収入が増えたのになぜでしょう。

■特別な人間だと勘違いする

年収が1,000万円を超えている人の割合は全体の5.4%です。この5.4%に含まれたなら、自分は特別な人間だと思ってしまう気持ちは分からないでもありません。

しかしそこで自信過剰になり、謙虚さを忘れてしまったら、仕事にも家庭にも悪い影響が出てきます。急にほかの人に対する思いやりがなくなったり、相手を見下すような態度をとるようになったり…。

年収が1,000万円を超えたあとこそ、初心を忘れずにいたいものです。

■生活水準を落とせない

年収が1,000万円を超えると家賃が高い住宅に住むことができます。部屋も広く、窓からの見晴らしも良く、交通の便もよければ、日々の暮らしが豊かになるでしょう。

そのこと自体に問題はないのですが、注意しなければならないのが、一度生活水準を上げると落とすのが大変だ、ということです。プライドが許さないからです。

もし解雇や転職などによって年収が減ったのに生活水準を落とせないと、支出が大きすぎる状態になってしまい、家計は火の車に…。

■年収減で自己嫌悪になる

年収1,000万円に達したら、自己肯定感が生まれます。しかし、人生何があるか分かりません。前述のケースのように、解雇や転職で年収が大きく下がることもあります。

そのとき、年収1,000万円以下になった自分を許せず、激しい自己嫌悪を感じてしまうと、メンタルを病んでしまうかもしれません。年収が1,000万円を超えていようが、それより年収が少なかろうが、いまの自分を肯定するというスタンスが大切です。

■要はあなた次第

ちなみに、年収が7万5,000ドル(約1,060万円)を超えると、幸福度はほとんど増えなくなるという論文があります。

人生において年収1,000万円が一つの到達点として意識されることは言うまでもありません。しかし、宝くじが当たった人が不幸になるケースがあるように、収入が増えたことで自分が変わってしまうと、逆に不幸になってしまいます。要はあなた次第なのです。

岡本一道(政治経済系ジャーナリスト) 日本の国内メディアと海外メディアの両方でのジャーナリスト経験を経て、現在は国内外の政治・経済・社会・文化など幅広いジャンルにおけるトピックスで多数の解説記事やコラムを執筆。ニュースメディアのコンサルティングなども手掛ける。