■カリスマ感とか神秘性とか
一方で、色気のない回だったなとも思います。
マエストロが音楽以外はまるでダメなことは今までも語られてきましたが、ことさら音楽の話になると冴える人だった。前回のケンカしてる若い2人の楽団員を客前でタイマン演奏させるところとか、コンダクター志望の女子高生をオケに引き入れたときの理由付けとか、優秀な音楽家ならではのロジックを披露するシーンでのマエストロの振る舞いが、まったく視聴者の想定を超えてくるところにこのドラマ独特のロマンがあったのですが、今回はクライマックスのオケの演奏でもマエストロは自分の恋路ばかりを気にして、指揮に集中していなかった。
いろいろあるけど、音が鳴ったらこうなっちゃう、没頭しちゃうというところに、このマエストロのカリスマ感とか天才という存在の神秘性とかが宿っていたわけですが、そこが演出されなかったんですよね。意図的に排除したのか、演出家の名前も変わってますし方向転換したのかは不明ですが、物足りなく感じた部分です。
まあ要するに第4話はあんまし面白くなかったし、とりわけグッとくる場面もなかったわけですが、人物相関もややこしくなってきたし、いったんこういう回があってもいいかなという感じで。そういえばまだモーツァルトも取り上げられてないですし、チェロの彼にはサリエリ的な匂いも感じますし、お楽しみは後半に、といったところでしょうか。
次回を待ちましょう。
(文=どらまっ子AKIちゃん)