さまざまなハラスメントが社会問題として話題になっている今、自分が被害にあった時、だれに相談すればいいのか、どこからがハラスメントと呼ばれるのかがわからず頭を悩ませている方も多いようです。そんなお悩みに弁護士、齋藤健博さんがお答え。今回は内定を辞退したらエージェントに脅された……というこんなエピソード。
Q. 内定を辞退したら、エージェントに脅されたのですが……
転職活動をし内定をもらい承諾をして入社するつもりでいたのですが、家庭の事情により辞退せざる得ない状態となったため、そのことを仲介をしていたエージェントに伝えました。
そうすると「辞退をすると、他の転職エージェントにも情報が共有され、今後転職ができなくなります」や「損害賠償も請求しますので覚悟してください」と脅されました。脅迫罪とも取れる内容ですが、こんなことってありえるんでしょうか?(shiori/29歳/事務)
A. 行使されることは“ほぼ”ない! 脅迫罪より重い、恐喝罪に当たる可能性
shioriさんの場合、転職活動をし内定をもらい承諾をして入社するつもりでいたということは、もともと今の会社に不満があるのは事実でしょう。しかし、新しい勤務先に行くことが家庭の事情により辞退せざる得ない状態となったことは、やむを得ない事情かと考えます。しかし、「辞退をすると、他の転職エージェントにも情報が共有され、今後転職ができなくなります」や「損害賠償も請求しますので覚悟してください」と主張されても、現実に、これを行使されることは現実的ではありません。そして、脅迫罪というよりは、さらに重い恐喝罪のほうがなじみやすい事例です。要は、先方の主張はshioriさんのご指摘の通りだと理解されます。