◆過去をシェアする再会
では、このみんなのみどちゃん会では、具体的にどのような結びつきとなるのか。ゆくえと会った美鳥は、次に椿の家に突撃訪問する。
同級生だった中学生時代が回想され、玄関で美鳥を見送るとき、椿の「いつか帰りたい家を持てるようにと願うしかなかった」というモノローグが豊かな余韻となる。荒れた中学時代の彼女を知るからこその椿の優しさが滲む。
美鳥は夜々に手料理を作る。一口食べた夜々が「これだ」 とご満悦。夜々は、美鳥に将棋を教えてもらった幼少期を回想する。この将棋、美鳥は椿に手ほどきを受けている。椿との記憶を経由した夜々との過去なのだ。
美鳥の人間関係が、過去と現在の間でうまくリンクする。そして最後に会うのが、4人の中では唯一彼女を探し、そこまで親しい関係性ではないと内心不安な紅葉だ。こうして過去をシェアするように再会を果たす美鳥の存在が、クライマックスへのどのような橋渡しとなるのか。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu