Profile
Profile/1982年生まれ、東京都出身。モデルとして芸能活動を開始後、2001年にドラマ「さよなら、小津先生』で俳優デビュー。2005年には『サマータイムマシン・ブルース』で映画初主演の座を射止めた。2009年にはエランドール賞新人賞、第33回日本アカデミー賞では映画『ディア・ドクター』で優秀助演男優賞を受賞。近年の主な出演作には、映画『友罪』、『護られなかった者たちへ』、『怪物』、『ミステリと言う勿れ』、『アンダーカレント』などがある。
命懸けの“三文”芝居を通して命のありがたみが伝わってくれたら
「忠臣蔵」をベースに“身代わり”という斬新なアイディアを加えた土橋章宏の小説『身代わり忠臣蔵』が映画化される。永山さんが演じるのは忠義の赤穂浪士達を率いる大石内蔵助。まず出演オファーが来たときの心境から伺うと。
「脚本が土橋さんで、監督が河合さん。そして主役にムロくん。その座組を聞いただけでYESと即答でした。しかもムロくんが一人二役を演じるなんて、絶対に面白い作品になると確信しましたし、このチャンスを逃してはいけないと思いました」
本作で一人二役を演じるムロツヨシさん。永山さんとの約20年ぶりの共演も話題になっている。
「ムロくんは僕の俳優としての何かを壊してくれた人。共演した『ハロー張りネズミ』で初めて彼の演技を見たとき、怖くなったんですよ。あぁ、この人は僕とは全然違った次元で芝居をしているなって。もちろん、僕は僕の中で信じたものを積み上げて俳優としての形を作ってきたのですが、ムロくんの芝居を見て感銘を受けました。俳優とはこうあるべきだ、芝居はこうしなきゃいけないというのを全部取っ払って、もっと自由に演じていいんだということを教えてくれた人です。今回も久しぶりに共演してみて改めてそれを感じましたし、出来上がった作品を見てもムロくんの天才ぶりが輝いていて。僕のカットは減らしていいからもっとムロくんのシーンを!と反省点ばかりです」
仇討ち急進派とお家再興を第一とする派の間に挟まれ、決断に苦悩する大石内蔵助。そこで永山さんに、決断に迷ったときはどう決めるのかを伺うと。
「面白いかどうかですね。でも最近はこの作品がどこまで残るのか...ということも考えるかな。“瑛太”と検索すると未だに『ウォーターボーイズ』が出てくるんです。あの写真が一生残るんだと思うと...(笑)。なので、この作品は残して大丈夫だろうか、子供に見られても恥ずかしくないだろうか、いや、恥ずかしいことをしているのは面白いけど、限りなく恥ずかしくないものを選びたいという葛藤はあるかもしれません。この作品?これも残ると思いますが、ムロくんが恥ずかしくなれば良いと思います(笑)」
今回、描かれるのは“世紀の身代わりミッション”。身代わりが欲しいと思ったシチュエーションを伺うと「毎回コピーロボットが欲しいと思っている」というお答えが。
「大体、連続ドラマに入ると4話目くらいでコピーロボットが欲しくなるんです。1、2話は勢いで駆け抜けて3話くらいで疲れてきて4話で“まだ先は長いな...”と交代してほしくなる(笑)」
それでも乗り越えられない試練はないと永山さんは続ける。
「子供の頃から親に“できる試練しか与えられない”と言われてきたせいか、大体のことはまぁどうにかなるだろうと思っているところはあります。先日、ドラマで共演した吉岡さんが出演した舞台『ガラスの動物園』を見に行ったんです。僕もこの作品でトム役を演じたことがあったのですが、ものすごいセリフ量なんです。今回はその役を尾上松也さんが演じてらっしゃったのですが、その姿を見て“僕もあのとき本当に追い込まれていたけど、乗り越えたんだよな”と、改めて思い出しました。そうやって自分の体験を振り返れることがあるというのは心強いなと思いましたね」
今後も“面白い”作品の発表を控えているとのこと。今までとは違う新たなチャレンジにも意欲的な永山瑛太さん。2024年も目が離せない。