現在進行形で子育て中の人なら、一度は「子供が独立したら経済的に楽になるのかしら?」と思ったことはあるかもしれません。

確かに、教育費や生活費の出費は減るので楽になる部分はありますが、意外な出費が生じることも考えられます。

今回の記事では「子供が独立した後のお金の落とし穴」について詳しく解説しましょう。

■落とし穴1:子供が結婚することになった

子供が結婚することになった場合、結婚式や新生活を始めるための費用を出してあげたいと考えている人は多いでしょう。それ自体は良いことですが、まとまったお金が必要になる点に注意が必要です。

なお、株式会社リクルートの「ゼクシィ結婚トレンド調査2022(全国推計値)」によれば挙式と披露宴の費用総額の平均は303.8万円とのことでした。ご祝儀や会費で回収できる部分があるとはいえ、ある程度のお金はお祝い金として出したほうが子供の助けになりそうです。

■落とし穴2:子供が働けなくなった

子供が大学を出て就職したとしても、パワハラに遭って精神疾患を発症した、ハードワークで体調を崩したなどの理由で働けなくなることも考えられます。再就職できるほどに回復するまでは、生活費を出すなどの配慮が必要になるため、相応のお金もかかるでしょう。

■落とし穴3:孫が生まれた

子供が結婚し、孫が生まれたらお金のかかり方も違ってきます。

出産祝いとして3万円~10万円程度は出すことになるうえに、かわいい孫のために…と何かと買ってあげたくなるかもしれません。将来的に進学することを考えて貯金を始める人もいるでしょう。

■落とし穴4:家族の介護が始まった

家族が認知症を発症したなどの理由で介護が始まった場合も、何かとお金がかかります。

公益財団法人生命保険文化センターの令和3年度の調査によれば、介護に要する費用のうち、一時的な費用の合計は平均74万円、月々の費用は平均8.3万円とのことです。

介護期間の平均は5年1ヵ月となっているため、仮に5年間介護をしたとすると、総額約572万円かかることになります。

■「どこまでならOKか」を見据えて動くこと

結局のところ、子供が独立したとしても、結婚・出産・介護などのライフイベントがあれば相応のお金はかかります。お金には限りがある以上、家族と話し合いをしたうえで「どこまでなら出せるか」を見据えて動くしかありません。

お金の話はデリケートではあるものの避けては通れないため、都度話し合いをし、納得のいく着地点を見つけるようにしましょう。

文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー) 立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。