◆「思いやり」で成り立つサービス

作業着を着た男性と赤いハートマーク
――日本を好きでいらっしゃるのですね。

金「人を好きになるのに理由がないのと同じように、私は日本が好きです。水が合うというか…。言葉の奥深さなんかも素敵だと思います。例えば、日本には『思いやり』という言葉があります。ですが『思いやり』は日本独特の表現で、訳しにくい言葉です。

『次の人が気持ちよく使えるように』とトイレをキレイに使ったり、スリッパを揃えたり。洋服などのサブスクで『自分の物じゃないから』と、より丁寧に扱ったり…。そういう『思いやり』は、日本の“サービス”や“ものづくり”のレベルの高さに現れていると思います」

――中国では、そうではないのですか?

金「中国では『お金を払っているからサービスを受けられる』という意識が強く、提供されたものを、汚したりしても気にしない場合も多いのです。一方の日本では、ルールがハッキリと明記されていなくても、人々は最低限のルールを守っています。例えば、警備員がいなくても順番に並んだりしますよね。それは、海外では当たり前のことではないのです」