◆春画を通して「視野の狭さを思い知らされた」

柄本佑
――塩田監督の作品ということにまず惹かれたそうですが、今回俳優としての学びはありましたか?

柄本:学びは毎回あるんです。塩田監督とは初めてご一緒させていただいて、春画の見方として新たな視点、非常に重要なことを学びました。白いところが肌になっていて、書かずして無から有を生み出していると。

 それは監督の発見で、特に白の使い方ですね。あれだけふくよかに見える女性のお尻が、実は何も書いてないことによって描き出されているという、すごい発見なんです。

 どうしても局部に目が行きがちなので、視野の狭さも思い知らされる。作り手ならではの発見だと思うんです、学ばせていただいて、まだまだだなと思う。やらなくちゃいけないことがたくさんある。

――映画デビュー作の『美しい夏キリシマ』(2003)公開から20年が経ちますが、“学び”への意欲のほかモチベーションは何でしょうか?

柄本:僕は中学3年の時に始めて映画の現場をやり、そこから2年間何もせず、高校生2年生になる年の頭くらいから今の事務所にお世話になってるのですが、そのときは「高校生が映画に出る」という仕事の仕方で、卒業したら専門学校生になり、今度は専門学校生が現場に行っていただけなんです。

 そこも卒業してひとり暮らしを始めたら、この仕事だけになるわけですが、そうしたらよく分かんなくなってしまったんです。自分が何者なのかと。それまでは学生証を見せれば、高校生の柄本佑と書いてあったわけで。