離婚して「おひとりさま」ともなれば気になるのは老後の資金問題。ひとりでも安心して老後生活を送れるように、今からしっかりと対策をしましょう。
■おひとりさまの老後の生活費と必要貯蓄額
総務省統計局の2022年「家計調査年報(家計収支編)」では、65歳以上の単身世帯では毎月平均15万5,495円の生活費がかかります。
それに対して年金収入は、「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金のみの場合は月5万6,368円、厚生年金に加入していた場合は老齢基礎年金と合わせて月14万3,965円です。
老後の生活期間を便宜上65歳からの25年間とすると、約346万円~2,974万円不足することになるので、老後の収入が年金のみとなる場合はそれだけの貯蓄を準備する必要があります。
とはいっても、この金額はあくまで目安です。年金が満額もらえない人や生活水準を高く保ちたい人は、もっと不足する可能性があるでしょう。
■おひとりさまにおすすめの老後資金対策4つ
おすすめの老後資金対策は以下です。できることから始めていきましょう。
●老後資金対策1:収支を見直す
老後は基本的に年金収入だけとなるので、現役時代と同じ生活をしていると収入よりも支出が多くなり、あっという間に貯蓄が底をつきます。
収入に見合った支出になるよう、老後が近づいたら収支を見直す必要があります。今から支出が多くなりすぎないように気を付けておくとよいでしょう。
●老後資金対策2:資産運用をする
現在の預金金利は低いため、銀行にお金を預けても大きく増えませんが、資産運用をすることで効率的に増やすことができます。
NISAやiDeCoを活用すれば非課税で運用できるだけでなく、iDeCoは掛金が全額所得控除になるので節税効果もあります。
ただ、投資で必ずしもお金が増えるとは限りません。元本割れの可能性もあるので注意が必要です。
●老後資金対策3:個人年金保険に加入する
個人年金保険に加入することで、決められた期間もしくは一生涯に渡って年金を増やすことができます。
個人年金保険は生命保険料控除の対象にもなるので、節税効果もあります。
ただ、途中で解約すると元本割れを起こす可能性があるため注意しましょう。
●老後資金対策4:老後も働くことを検討する
老後も元気なうちは働けば、収入を得ることができます。
現役並みの収入は難しいかもしれませんが、たとえ少額でも収入を得られれば老後資金の目減りを抑えることができるでしょう。
■早いうちから対策をしよう
おひとりさまは自分だけが頼りなので、何かあっても困ることがないようにしっかりと対策をとる必要があります。
老後資金は一朝一夕で作れるものではないので、早めに準備に取りかかりましょう。
文・阪田順子(ファイナンシャル・プランナー) 保険会社での営業、一般企業の経理職などを経て、2020年にファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用や株式投資の講座を開講。投資を中心にお金にまつわる記事の執筆・監修を行う。FP1級、CFP®保有。