ところが、妻が年金を受給し始めた翌年、Iさんは病気にかかり76歳で他界してしまいます。これまで夫婦で22万円の年金を受け取っていましたが、夫の死後は夫の遺族厚生年金と妻の老齢基礎年金の合計で、約13万円と3分の2以下の金額になってしまいました。

年金額はかなり減ってしまいますが、貯金はまだ2,000万円近くあるので、贅沢をしなければIさんの妻は生活できるはずでした。

誤算だったのは、Iさんの遺産相続です。Iさんのご両親はすでに他界されていましたが、Iさん夫妻には子供がいないため、今ではほとんど交流のないIさんの兄と妹にも法定相続分が発生していました。

法定相続分は死亡した人の配偶者に4分の3、兄弟姉妹に4分の1と決められています。しかし、Iさんは財産の多くが不動産(自宅)でした。自宅がなくなればIさんの妻は住むところがなくなるので手放せません。遺族で話し合いを重ねましたが、譲歩してもらえず、貯金の半分ほどをIさんの兄妹に払うことになってしまいました。

年金でわからないことは年金事務所へ

夫に万が一のことがあった場合、妻は遺族年金が受け取れます。また、夫が死亡時に会社員あるいは公務員として働いている場合に、妻は遺族年金と老後の年金を両方受け取れる場合があります。

老後の公的年金が不安な人は、最寄りの年金事務所に確認してみましょう。

文・fuelle編集部