「投資は若いうちから始めたほうがよい」という話はよく聞きます。たしかに、現行のつみたてNISAは若いうちから始めたほうが有利でしょう。
しかし、2024年1月から始まる新NISAでは、活用次第で50代からでも老後資金に備えることができるという、「キャッチアップ投資」が注目されています。
■新NISAのキャッチアップ投資とは
キャッチアップとは「追いつく」「遅れを取り戻す」といった意味合いで用いられる言葉です。これまで投資をしてこなかった50代でも遅れを取り戻せる投資の手法をキャッチアップ投資といいます。
これまで、NISAはつみたてNISAか一般NISAのどちらか一つを選択しなければならず、非課税期間がつみたてNISAなら20年、一般NISAなら5年と限定的でした。
しかし、改定後の新NISAではつみたて投資枠と成長投資枠の両者を併用でき、投資できる金額も大幅に増え、無期限で運用することができます。
【現行NISAと新NISAの比較表】
項目 | 現行NISA | 新NISA | ||
---|---|---|---|---|
つみたてNISA | 一般NISA | つみたてNISA | 一般NISA | |
制度実施期間 | 2042年末まで (2024年以降 新規買付不可) |
2023年末まで | 2024年1月から制度恒久化 | |
制度選択 | 併用は不可 | 併用可能 | ||
非課税保有期間 | 20年 | 5年 | 無期限 | |
年間投資上限額 | 40万円 | 120万円 | 120万円 | 240万円 |
最大利用可能額 (生涯投資枠) |
最大800万円 | 最大600万円 | 合計1,800万円 | |
(最大1,800万円 利用可能) |
内数1,200万円 | |||
投資可能期間 | 最大20年 | 最大5年 | 無期限 | |
課税投資枠の 管理 |
年間買付額を管理 | 年間買付額を管理 | 生涯非課税限度額(総枠)を管理 簿価ベース=取得価額 |
|
購入方法 | 積立 | スポット・積立 | 積立 | スポット・積立 |
対象商品 | 投資信託 (金融庁指定の銘柄) |
上場株式・ETF 公募株式投信・REIT |
投資信託 (金融庁指定の銘柄) |
上場株式・ETF 公募株式投信・REIT (一部対象除外あり) |
ロールオーバー (移管) |
- | 可 | つみたてNISAから 不可 |
一般NISAから 不可 |
加入可能年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 | 18歳以上 |
■50代からの新NISAのメリット
現在のNISAでは、年間非課税枠の上限がつみたてNISAで40万円、一般NISAで120万円です。新NISAでは、年間でつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円まで非課税となります。
つまり、1年間に非課税で投資できる金額が増えることで、これまで預貯金として金融機関に眠っていた資産を、短期間で投資に振り分けられるようになります。これは、比較的余剰資金や貯蓄の多い50代にとって有利な制度改正だといえるでしょう。
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■【事例】50代の新NISA活用法
では、新NISAにおけるキャッチアップ投資の活用事例を2つ紹介します。
投資期間は50歳から70歳までの20年間。老後資金のため、70歳までに一生涯の非課税保有限度額の1,800万円を使い切ることを前提とします。
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