年収、世帯年収、所得など、収入を指す言葉はいろいろありますが、違いを正しく理解していますか?

どれも何かの手続きや申請の際に聞かれることが多いものなので、違いや意味を知っておきましょう。

■年収とは?

年収とは、1月1日から12月31日までの1年間に会社から支払われたすべての金額のことです。給料だけでなく、ボーナスや特別手当なども含まれます。

給料やボーナスは支給時に社会保険料や税金が引かれますが、年収はそれらが引かれる前の金額のことで、いわゆる額面と呼ばれるものです。

個人事業主の場合は、売り上げなどの総収入金額から売上原価や経費を引いたものになります。

■世帯年収とは?

世帯年収とは、住居と生計を一緒にしている人たちの年収の合計です。

夫婦2人暮らしなら夫婦の年収の合計、4人家族で暮らしている場合は4人の収入の合計になります。

専業主婦や学生などで働いておらず、自分に収入がなかったとしても、配偶者や父母と同居して生計を共にしている場合は、全員の年収を合計した額が世帯年収となります。

■所得とは?

所得とは、収入から必要な経費を引いた金額のことです。

会社員の場合は、年収から給与所得控除額を差し引いた金額です。

給与所得控除額とは、会社員が経費分として年収から差し引くことができるもので、金額は給与の額によって異なります。

個人事業主の場合は、総収入金額から売上原価や店舗代や備品代などの経費を引いた金額が所得になります。そのため、個人事業主の場合、年収と所得は同一と考えることが多いです。

■年収、世帯年収、所得を間違えると大変なことに

700万円を例に考えると、年収700万円とは会社から1年間に支払われた金額が700万円ということになります。

世帯年収700万円とは、住居と生計を一緒にしている人たちの年収の合計が700万円ということです。収入がある人が2人以上いる世帯の場合、一人当たりの年収はそれよりも低くなります。

所得700万円とは、年収から必要経費を引いた金額が700万円ということになるので、年収はもっと高い金額になります。

扶養内でパートをする場合や確定申告の際に、年収と所得を間違えると税金が多くなってしまうこともあるため注意が必要です。

それぞれの違いをきちんと認識して、手続きや申請の際に間違わないようにしましょう。

文・阪田順子(ファイナンシャル・プランナー) 保険会社での営業、一般企業の経理職などを経て、2020年にファイナンシャル・プランナーとして独立。資産運用や株式投資の講座を開講。投資を中心にお金にまつわる記事の執筆・監修を行う。FP1級、CFP®保有。