私たちが毎月目にする給与明細には、支給される給与以外に支払っている税金や社会保険料の金額が細かく記載されています。しかし、毎月の生活が忙しいと、手取り部分だけを見て、あとはあまり気に留めていないかもしれません。
今回は毎月の給与から引かれる税金や社会保険料について解説します。
■給与明細の3つの要素
給与明細には「勤怠」「支給」「控除」の3つの要素が記載されています。
勤怠 | 出勤 | 欠勤 | 有給休暇 | 実働時間 |
---|---|---|---|---|
22 | 0 | 0 | 176:00 | |
支給 | 基本給 | 時間外 | 役職手当 | 職能給 |
250,000 | 15,000 | |||
控除 | 健康保険 | 介護保険 | 雇用保険 | 厚生年金 |
18,000 | 2,500 | 1,000 | 30,000 | |
所得税 | 住民税 | |||
7,000 | 18,000 |
「勤怠」には毎月の勤務状況がまとめられており、出勤・欠勤・有給・実働時間などがかかれています。
「支給」は基本給や時間外労働手当、役職手当、職能給など労働者に支給される金額を示します。
「控除」には支給された給与などから差し引かれる金額が記載されています。
■給与から差し引かれる「控除」
控除に記載されているものは税金と社会保険料の2つに分けられます。
●税金
税金には国に納める所得税と地方自治体に納める住民税があります。
所得税は所得にかけられる税金で税率は5~45%です。所得金額によって税率が変わる累進課税の仕組みが取り入れられています。
住民税は都道府県民税と区市町村民税に分けられます。都道府県民税が4%、区市町村民税が6%と定められています。給与明細にはそれらの金額が記載されています。
●社会保険料
社会保険料とは、厚生年金保険・健康保険・介護保険・雇用保険・労災保険の5つの公的保険の保険料のことです。
このうち、労災保険は会社が全額負担するため私たちの給与明細に記載がありません。
健康保険と厚生年金保険は従業員と会社が半分ずつ支出します(労使折半)。会社を辞め、すぐに再就職しない場合や配偶者の扶養に入らない場合、全額自分で支払わなければなりません。
40歳以上が支払う介護保険も労使折半です。
雇用保険の負担率は事業の種類によって異なります。そのため、転職して給与は変わらないのに雇用保険の保険料額が違うといったことが起こり得ますので覚えておきましょう。
■給与明細は毎月確認し自分が払っている税金や社会保険料を把握しよう
毎月何気なく受け取っている給与明細には思いのほかたくさんの情報がかかれています。私たちに給与として実際に振り込まれるのは、総支給額から各種控除を差し引いた残りの金額です。
収入の20~25%ほどを税金や社会保険料が占めていることや、健康保険・厚生年金保険・介護保険などの保険料は会社がある程度負担していることを知っておかなければなりません。
退職後に負担が増えてびっくりすることがないよう、常日頃から自分が支払っている税金や社会保険料について理解しておきましょう。
文・馬場正裕(ファイナンシャル・プランナー) 高校教師・学習塾・予備校の講師を経て、現在は金融・保険などのマネー系Webライターとして活動中。主に、金融メディア、SDGsメディア、教育メディアに出稿している。