年金も確定申告をしないといけない場合があることは知っていますか?期限までに行わないと、「加算税」や「延滞税」など思わぬ出費を招くことも。
この記事では、確定申告が必要になる条件や、確定申告をしなかったときに起こることについて解説します。
■公的年金に税金がかかる
必要最低限の生活をするにも、年金だけではやりくりできないと言われています。しかし残念ながら年金も所得の一種なので、以下のいずれかに当てはまる人は確定申告をして税金を納めなければなりません。
- 公的年金等の収入が年間400万円を超えている
- 仕事や株式の配当金など、公的年金以外の収入が20万円を超えている
- 生命保険料控除や医療費控除などの控除を受けたい
ここでいう「公的年金等の収入」には、国民年金、厚生年金、企業年金、年金形式で受け取るiDeCoなどを含みます。
年金による収入が年間400万円に達する場合とは、月収になおすと約34万円になります。現役時代に収入が高く、多くの厚生年金保険料を納めていた人は、受け取る年金が高額になる可能性があるため注意しましょう。
また企業年金やiDeCoを年金で受け取っている人も、受取額が大きいと確定申告が必要になるかもしれません。なおiDeCoで運用した資産を一時金で受け取った場合は、退職所得となり、雑所得には含まれません。
■確定申告した方が良い場合
次のようなケースでは、税金の還付が受けられる可能性があるため年金生活者も確定申告をしたほうが良いです。
- 医療費控除を受けるとき
- 生命保険料控除や地震保険料控除を受けるとき
- 災害・盗難に遭ったとき
医療費控除とは、1年間でかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満は総所得金額の5%)を超えた人は、超えた分の医療費が所得から差し引かれるという制度です。これにより税金が軽減されるようになっています。
また生命保険、個人年金保険、医療保険や介護保険、地震保険などに加入している場合、その保険料の全部または一部が控除の対象です。
さらに意外に知られていないのが「雑損控除」。災害や盗難で損害を受けた人が一定額まで所得控除を受けられる制度です。損害を受けて、火災保険などでカバーしきれなかった金額の一部について、確定申告すれば所得控除を受けられることがあります。
■申告しないとどうなる?
確定申告が必要なケースであるにもかかわらず確定申告をしなかった場合、期限後申告のペナルティとして加算税や延滞税が課されます。
加算税は納付すべき税額に対して15~20%(令和5年分以降は15~30%)、延滞税は納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは2.4~7.3%、2ヶ月経過した日以降は8.7~14.6%が日数に応じて加算されます。
■仕組みを知ることが大切
年金受給者でも確定申告をしなければならないケースがあります。また医療費控除や保険料控除、雑損控除などが活用できれば、税金の還付が受けられるかもしれません。老後に損をしないよう、税金の仕組みを理解しておくことが大切です。
文・金子賢司(ファイナンシャル・プランナー) 立教大学法学部卒業後、東証一部上場企業に入社。その後、保険業界に転身し、FPとして活動を開始。個人・法人のお金に関する相談を受けながら、北海道のテレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。