定年後の資金は計画的に準備できていますか?
定年後は悠々自適に暮らしたいという本音とは裏腹に、一般的には収入は減っていき、お金の自由が制限されてしまいます。
お金の使い方を間違えると生活がままならなくなることもあります。
定年後にかかる出費は自分たちの生活費だけではないので、注意が必要です。定年後、とくに生活を圧迫する4つの出費を紹介します。
■出費1:教育費
定年後も高校生・大学生のお子さんがいる場合、事前に十分な資金計画を立てておきましょう。失敗すると、定年後の生活費が削られたり、途中で払えなくなったりなどのトラブルが起きることも。
奨学金の利用を検討する、在籍している学校に相談するなど、早めに対策を講じましょう。
■出費2:孫にかかる費用
最近は「孫破産」という言葉を耳にするなど、ついつい孫にかけてしまうお金は時に家計を圧迫します。
大手保険会社・ソニー生命の「シニアの生活意識調査2023」によれば、最近1年間に孫のために出費した金額の平均は108,134円とのことでした。
やりくりできる範囲で出すなら問題ありませんが、自分たちの生活費に影響するレベルまでひもをゆるめてしまうのは禁物です。孫にお金を使う場合は、自制しつつ楽しみましょう。
■出費3:親や自分の医療介護費
年齢が上がるにつれ、病気をしやすくなるうえに、介護が必要な家族も出てきます。日本の場合、公的医療保険や介護保険などサポートする仕組みが整っているものの、自分たちでまかなわなくてはいけない部分もあるのが実情です。
なお、公益財団法人生命保険文化センターの調査によれば、介護における一時的な費用の平均は74万円、毎月の費用の平均額は8.3万円とのことでした。介護期間の平均は5年1カ月なので、仮に5年間介護するとなると572万円かかる計算です。
これだけの大金がかかる以上、まとまったお金を準備しておくに越したことはありません。
■出費4:住宅ローンの返済や住宅のリフォーム
定年後も続く住宅ローンの返済や、ライフステージに合わせた大規模なリフォームも注意が必要です。退職金などまとまったお金が入ってきたならそれを充当して構いませんが、ない場合はどうやって工面するかが問題になります。
持ち家を担保にしてお金を借り、死亡時に一括返済するリバースモーゲージ型のローンを組むのも1つの方法です。
■長期的に見てやりくりしよう
定年後に、まとまった出費が必要なライフイベントがありそうなら、それに対し「どれだけまでならお金を出せるか」を立ち止まって考えるようにしましょう。長期的に見てやりくりができるなら問題ありませんが、難しい場合は計画の見直しも必要です。
文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー) 立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日商簿記検定1級、貸金業務取扱主任者(試験合格)