◆坂本氏は「僕らの世代」が親になり教師になった結果だと指摘

 ここでの坂本氏は明らかにダウンタウン的なものに対して批判的ですが、同時にそれが突然あらわれたのではないことも指摘しています。

<権威に反発して、ルールがないことはいいことだと戦後最初に言ってたのは、僕らの世代なんだよね。いわゆる全共闘世代。いま僕らの世代が親になり、教師になって、そういう子どもを育ててしまってる。>(p.120)

 坂本氏はダウンタウンそのものを批判しているのではなく、彼らが生み出されるに至った歴史の過程に、日本の問題点を見ているのです。

 善悪や道徳、倫理の問題など自分で考えなければならない本質的な問題に取り組まず、受験対策に代表されるような明確な解答のみを要求する教育の果てに広がる精神の荒廃(こうはい)。

 教員による学校教育だけでは不十分だとして、現状をこう分析する。

<やっぱり、親なんだよ。教えられるのは親であり、地域のコミュニティーであり、社会だもん、それが機能していないってことだよね。>(p.84)