ついにこの日がやってくる
2024年1月1日からミッキーマウス(とミニーマウス)がパブリック・ドメイン(著作権フリー)化する。
誰でもミッキーとミニーを自由に使えるように
ミッキーマウスとミニーマウスは1月1日をもってパブリック・ドメインになり、これ以降ディズニーは両キャラクターの初期バージョンに対する独占的な著作権を主張できなくなる。アンダーグラウンドの漫画家、映画製作者、小説家、作曲家など、誰であっても両キャラクターを使用した自由なアプローチが可能になるというわけだ。
短編映画『蒸気船ウィリー』での初登場から95年、ミッキーマウスがパブリック・ドメインになることは当然映画業界に大きな影響を持つことになるだろう。
ミッキーマウスが公共ドメインになることは、実用的な影響だけでなく、彼の初登場から95年後の象徴的な節目でもある。パブリック・ドメイン研究の権威であるデュークセンターの所長であるジェニファー・ジェンキンスは「これは大きな節目だ」「著作権コミュニティは大興奮しているよ。『ついにこの日が来た』ってね」と、世界でトップクラスの知名度と人気を誇るキャラクターのパブリック・ドメイン化に興奮冷めやらない様子だ。
【注意】著作権フリーなミッキーは“初期バージョン”だけ!
ただ、注意点がひとつ。パブリック・ドメインになったミッキーマウスは“初期バージョン”であって、“現代バージョン”のミッキーマウスについては今後もディズニーが著作権を維持しているし、今後もコピーライトを守り続けると宣言もしている。「どんなミッキーマウスでも使っていい」と勘違いしてキャラクターを使ってしまえば、訴訟問題に発展するかもしれないことにはご留意いただきたい。
“ティガー”や複数の名作小説もパブリック・ドメインに
毎年1月1日には、ジェンキンス氏は「パブリック・ドメイン・デー」を祝い、2024年1月1日からパブリック・ドメインになるコンテンツとしてはほかにも映画『キートンのカメラマン』、小説「西部戦線異状なし」「チャタレイ夫人の恋人」、さらに「くまのプーさん」シリーズに登場するキャラクター“ティガー”も含まれている。
ディズニーによるアニメ化でもおなじみの“ティガー”
ジェンキンスは「『ゾンビを足す』というのがポピュラーなパロディだね」と分析。ゾンビ・バージョンやホラー/スリラー・バージョンを作ることによって元々の作品を崩すというのはよくある手法だ。
事実、小説「華麗なるギャツビー」がパブリック・ドメインになったことで2021年には「The Great Gatsby and the Zombies(原題)」というゾンビ・パロディが作られた。日本でも有名なのは、「くまのプーさん」のプーさんやピグレットが暴力的になった映画『プー あくまのくまさん』だろう。ティガーのパブリック・ドメイン化によって、『あくまのくまさん』の続編にはティガーも登場できるようになるということになる。
ミッキーマウスの著作権フリー化によってどのような破天荒な作品が登場していくのか、今後の潮流から目を離せない。
著作権問題について広範に執筆・発言してきたハーバード大学の法学教授ローレンス・レシグも、「これは重要なイベント。新しい章の始まりであることを願っているよ」と今後に期待した。