印伝や革加工、彫金に鍛金と幅広い技術を深く追求している専門家集団「鈴甲子」から、2024度の鈴甲子雄山・壹三の新作が発売された。
子どもの健やかな成長を願い、飾る五月人形。鈴甲子雄山は、創業100余年。根っからの職人であった初代「雄山」鈴木甲子八から「本物」の知識・技術を受け継ぎ、研究し続けてきた。伝統的な技術を継承する職人たちが丹精込めて1つ1つ手がけており、その子にとって一生に一度の五月人形が次の世代に語り継がれるものであるように、との願いが込められている。
子供大将人形「YAYA」
「YAYA」は、関西で赤ちゃんのことを“ややこ”というと聞いたところから着想を得た、新しい子供大将人形。企画立案から原型製作は、原型師「ryoji」の3Dと粘土の複合造形技術によって作り上げられている。金色の金具に茶色々威の鎧を纏った「金ちゃん」と、
銀ブロの金具に縹色々威の鎧を身につけた「銀ちゃん」の二人が登場した。
鯉のぼりを持ち、手を前にするポーズと、きりっとした表情は、幼いながらも勇ましい、わんぱくな子供大将を製作する壹三の精神を踏襲している。2.5頭身のバランスに、特徴的な目はアクリル製で、「金ちゃん」と「銀ちゃん」とで瞳の色が異なる。
さらに、バイクに乗り、カッコよくポーズを決めた「鉄馬ライダー YAYA」も登場。バイクは藤原スペシャルの鉄馬仕様で、足にはブーツを履いている。手には打ち出の小槌を持っており、みんなに幸せを振りまいてくれそうだ。
吹返が特徴の「暁」
「暁(あかつき) 1/4スケール」は、茜糸威と紺糸威の二色展開。両側の吹返(ふきかえし)が大きくできており、返り方が平べったいのが特徴で、吹返の絵革として菊籬(きくまがき)の印伝を用いている。
兜を飾る台に当たる芯木にもこだわり、模様の入った芯木は実際の甲冑を飾るのにも用いられたデザインを採用。足元が見えるよう、通常の1/4サイズ用の芯木より若干高くしている。
初のセッティング作品「響」
「響(ひびき) 1/5スケール」は、雄山では初めてセッティングを揃えた作品。兜の色は「山吹威」「縹色々威」の二色。阿古陀形(あこだなり)という形状の兜鉢を用い、通常の半円の鉢と比べて、頭頂部が少し凹んだ形になっているのが特徴だ。色合いは全体的に黒の艶消しでセットを組んでおり、黒の艶消しの中に銀ブロの金具が鈍く光り、全体のアクセントになっている。