富士山の麓、名水で知られる忍野村にある小さな水族館「富士湧水の里水族館」です。森に生息するさまざまな生き物や魚たちを見て体験することができます。この水族館がある「さかな公園」の美しさと共にご紹介しましょう。

山梨県忍野村と「さかな公園」

富士山の北麓に位置する村で、天然記念物である湧き水の涌泉群「忍野八海」が知られています。その忍野村に「さかな公園」というかわいらしい名前の小さな公園があります。水と森をテーマとした静かで美しい公園ですが、その敷地内にあるのが「富士湧水の里水族館」と「森の学習館」です。

「富士湧水の里水族館」

この水族館の大きな特徴は、水槽の水に富士の湧水が使われていることです。なので、透明度が高く、一般的な水族館のように1つ1つ独立した小さな水槽は少なく、さまざまな魚たちがいっしょに泳いでいる大きな水槽がそれぞれメインになっています。

個性的な水槽の数々

水族館の中央に位置する大きなドーナツ型の水槽「二重回遊水槽」では、大きな魚と小さな魚がそれぞれ二重に仕切られた水槽で泳いでいます。外から見るといっしょに泳いでいるように見えるのですが、まさに透明度の高い富士山の水のなせる業です。

各水槽には、富士五湖の深みに住んでいる魚がいる「深みの魚水槽」、川の源流から中流までを再現した「流水水槽」、忍野村が復活プロジェクトを進めている激減しているホトケドジョウを見ることができる「水草水槽」、湖畔の芦原を再現した「岸辺の魚水槽」などがあります。

富士の名物「富士の介」

キングサーモンとニジマスを交配した山梨県オリジナルの魚です。一般的なサーモンに比べて肉質の旨味が強く、美味しい山梨のブランド魚になっています。

個性的でちょっと懐かしい生き物も

魚だけではなく、爬虫類などの生き物も見られます。海の魚と違い森の魚たちは地味な印象なので子供たちは退屈しがちな面もありますが、ゲンゴロウやカエルなど、大人たちにはちょっと懐かしく子供たちにはめずらしくなってしまった身近な生き物たちもいます。

子供たちに優しくおしゃれな仕様

こちらの水族館の注目水槽に「横見水槽」というのがあり、前に畳みマットが敷かれているので子供たちが寝転んで魚たちと同じ目線で水の中を見ることができます。外側とつながっているので、公園の中の池をのぞいているようです。また、子ども目線の低い水槽や踏み台が置かれているなど子供たちに優しい仕様を感じられます。

水族館の床で、順路を案内してくれるのは、矢印ではなく魚たち。とはいえ、こじんまりとした水族館の中はどんな風に巡ってもいいような造りで、いったり来たり自由に楽しめます。二階は外の森が見渡せる大きなガラスで、開放感があり居心地が良いです。

森の学習館

水族館と隣接しているのが、森の学習館です。学習という堅苦しさを感じさせない明るく居心地の良い空間で、植物や森の生き物たちのことを身近に感じられます。またドライフラワーや木の実の飾り方など、インテリア的にもとても参考になります。

自然を感じながら遊べる公園

さかな公園は、のんびりと自然を感じながら散歩できる空間が広がっています。芝生広場や遊具などもあり子供たちといっしょに遊べます。加えて、この地ならではの美味しい水のみ場があちこちにある贅沢な公園です。

季節によってさまざまな表情を見せてくれる景観で、筆者が訪れた時はちょうど紅葉が美しい時期でした。