ヨーデルや少女ハイジでもお馴染みマッターホルンが代表的な4000メートル級の山々が連なる国スイス。日本にほとんど馴染みのないスイス人の国民性にはどんな特徴があるのでしょう?大自然に囲まれて育つスイス人は素朴な性格なのかどうか付き合い方もお教えしていきます!

雄大なアルプスに囲まれた独特な国

スイスと聞いてイメージするのはまず高い山に響くヨーデル、酪農がさかんでチーズやミルクチョコレートでも有名な永世中立国ですが、九州よりもやや広い国土の約4分の3は山。1500もの湖と氷河で覆われている場所です。

それにここは、ドイツから北海へ流れるライン川、フランスから地中海へと流れるローヌ川の源にもなっています。戦争をしない永世中立国であるスイスでは自国内での自給生活を強いられるため物価も非常に高いのが特徴、人件費が高く給料も高い国です。

ジュネーヴにある国連本部をはじめ、国際機関の本部が集中する国際都市であるスイス国内ではフランス語、ドイツ語、イタリア語、ロマンシュ語の4ヵ国語が公用語になっています。ちなみにスイスの正式名称は「ヘルヴェティア共和国」、これはスイスの別名で先住民族ヘルヴェティに由来しています。

ヨーロッパの大国に囲まれた危機感あふれる環境に加え、WHOや国際赤十字、オリンピック委員会、サッカー連盟など様々な本部が集結するスイスの国民性は、素朴とは裏腹。実はかなり理知的で勇敢、警戒心が高いという特徴がある人々ともいえるでしょう。では彼らの心理やその背景なども見ていきましょう!

スイス人の性格・特徴・心理を調査①真面目で警戒心強め

ドイツ語ではスイス人の事を「シュヴァイツァル」「ローマ教皇の近衛兵」という意味でよび、標準のドイツ語とは程遠いスイスドイツ語が、ある地域で使用されていて、地域によって周辺諸国の文化が影響しているのが特徴です。

スイスではドイツ語が68パーセントの割合で多く使用されますが、スイス訛りの強いドイツ語では互いの意思疎通の邪魔にもなるため英語を公用語として用いるという現象が起きています。全ての国民が全ての言語に精通し、4ヵ国語を話せるわけではないのです。

バチカン市国を訪れると、現在もスイス人の傭兵を目にしますが、15世紀初頭から19世紀にかけ酪農を営むかたわら彼らは兵として他国に出稼ぎに出ていました。山に囲まれ閉鎖された場所は資源もなく目立った産業もありません。スイスも日本と同様資源の特徴といえば人材しかありませんでした。そのため男性も女性も仕事や貯金に真面目、残業もこなすというヨーロッパでも数少ない人種。外国人に対しても男性女性共に最初は警戒心の強い一面があります。

スイス人の性格・特徴・心理を調査②勇敢

フランス革命時は、宮殿でルイ16世を護衛し、スイス人傭兵は全滅。かつてのローマ帝国の都ウィーンの王宮にはスイス人傭兵が任務についていた「スイス門」が今も残っています。ナポレオン戦争後スイスは永世中立国となりましたが、それ以降の現在ではバチカン以外の場所に兵は派遣されてません。スイス人傭兵の男性が大昔から現在に至るまでバチカンから招かれている理由は、皇帝や王達を命がけで救ってきた歴史があるからです。

彼らには、スイス人傭兵を先祖にもつ歴史と、大自然やアルプス山中の厳しい生活環境の中で培われたハングリー精神をもっている特徴があります。それに男性は、酸素の薄い山地で日頃から身体を鍛えていかないといけません。

男性が忍耐強く勇敢で、任務を淡々とこなせる性格はドイツ人や日本人にも近い部分や特徴があります。それでもこちらが困っているとあれば親切で温和、自己犠牲の精神ももちあわせている彼らは、相手に譲る、案内などを引き受けてくれる一面が男性と女性共にみられます。

スイス人の性格・特徴・心理を調査③保守的で閉鎖的

一見無口にも見えるスイス人には、閉鎖的で保守的な人も多く存在します。やはり家族や同じ村人同士は団結が強いですが、男性も女性もよそから来たものや、悪そうな感じの人に対しては警戒心が強めになります。そんな彼らのもつ特徴も、山間部の小さな村社会で形成されたものであると言えるでしょう。スイスはユーロ圏でありながらEUに属さずNATOにも加盟せず、女性の参政権が認められたのも1970年代に入ってからとかなり遅めです。

これは女性を差別しているというより、大昔の日本の村社会同様「家を守り子育てをするのが本来の女性の持って生まれた役目」という伝統をずっと維持してきたことによるものです。この厳しい大自然の中、男性は外で力仕事。女性は家事と育児という役割分担はこの環境から生まれた保守的な習慣で、今でも地方によっては料理・裁縫・編み物のできる良き妻である女性のイメージというものがのこっています。

スイス人の性格・特徴・心理を調査④プライドは高めでも堅実

そのため、年齢にもよりますが最初から知らない人にオープンな人は少なく、討論や議論など自分が常日頃考えたり感じたりしていることを相手とシェアしたい欲求や心理が彼らにはあります。それにはお金がかかりませんし、良いアイディアや知識が得られるからでしょう。

これは貧しかった傭兵時代のなごりで、一家総出で自家製ジャムやワインをつくるなど、スイスには日本の昭和前期のような光景がまだ見られる場所があります。

米は新米ではなくかなり古い米を食べ小麦粉は前々年に収穫したものから使うという堅実ぶり。ミネラルウォーターもここではかなり安く手に入ります。食料にくわえスイス人の核シェルター保有率は100パーセント。国民全員が万が一に備え、困難な状況から生き延びていく知恵や備えを持っています。

その当時の日本を思い出してみると納得がいくのですが、他文化に対しやや閉鎖的で自分の国にプライドを持っているのがスイス人なので男性か女性と恋愛をする際はこちらから歩み寄ったり彼氏彼女の文化や制度を尊重してあげると良いでしょう。

スイス人の性格・特徴・心理を調査⑤英雄伝を信じている

古くから山の谷間で生活をしてきたスイス人は温厚で、表面的に争うようなことはしませんが、それでも自分達の平穏な生活を犯すものには、「郷に入っては郷に従え」とスイスの習慣を押し付ける頑固な一面もあります。

スイスにはオーストリアから独立を果たした時の国家誕生に深い関係を持つ「弓の名手で勇敢なウィリアム・テルの伝説」がありますが、スイス人は彼を実在の人物だったと信じ「自分の家族や村は自分の手で守る」という伝説の物語の教訓を実社会の国防政策にも受け継いでいます。

一般家庭にはもしもの時にどのように備えるべきかを書いたマニュアル「民間防衛」が配布され、一家に一台護身用の自動小銃が配備されています。これによる犯罪はありませんが、自殺対策として規制を求める声も上がっているようです。

自然にかこまれ、素朴でのんびりしているイメージがありますが男性には兵役義務もあり、必要な時に徴兵される仕組みになっています。永世中立国であるスイスは誰からも守ってもらえないため、これは国からの押し付けではなく自分で自分自身を守ることの延長と考えているようです。