3組に1組が離婚するという俗説もあるように、離婚は決して珍しいことではありません。長年連れ添ったものの、悩みから解放されたいと熟年離婚に踏み切る人もいるでしょう。
今回の記事では、熟年離婚にあたって確認したいお金の話を解説します。
■1.財産分与で退職金の一部をもらう
財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いた預貯金や車などの財産を離婚にあたって分配する制度です。基本は5対5で分配します。たとえ専業主婦であったとしても、夫が働ける環境を整え、家庭に貢献していた以上、財産分与を受けることは可能です。
退職金に関しては、勤続年数で割ったうえで、結婚期間に相当する年数分の半分を受け取ることが可能です。退職前に離婚した場合は、受け取れる退職金の予定額に基づいて計算するか、支給された段階で離婚条件に応じて支払うかのいずれかで進めます。
■2.原因次第で慰謝料を請求できる
離婚に至った原因が夫婦のどちらか一方にある場合、もう一方は慰謝料を請求できます。代表例は不倫(不貞行為)に対する慰謝料です。これ以外にも悪意の遺棄(家庭にお金を入れないなど)やDV・モラハラが原因だった場合も慰謝料を請求できます。
■3.年金分割で年金の一部を受け取れる
年金分割とは、婚姻期間中に納めた厚生年金を配偶者に分けることです。夫婦どちらかまたは両方が会社員・公務員などの2号被保険者だった場合に利用できます。
年金分割には2種類あり、双方厚生年金に加入する夫婦が話し合いをしたうえで合意した割合に従って分ける「合意分割」と、一方が3号被保険者だった場合に一律50%ずつ分割する「3号分割」に分類できます。
具体的にいくら受け取れるのかは複雑な計算が必要になるので、近くにある年金事務所や年金相談センターに問い合わせてみましょう。
■離婚を決心したらまずは弁護士に相談を
ここで紹介した以外にも、未成年の子供がいれば養育費を、離婚前に別居する場合はその期間の婚姻費用など、離婚にあたって請求できるお金はたくさんあります。
ただし、何をどこまで請求できるかはケースバイケースです。そのため、離婚を決心したらまずは弁護士に相談し、調査を進めてもらうと良いでしょう。
文・荒井美亜(金融ライター/ファイナンシャル・プランナー) 立教大学大学院経済学研究科を修了(会計学修士)。税理士事務所、一般企業等の経理を経験して現在は金融マネー系ライターとして活動中。日本FP協会の消費者向けイベントにも講師として登壇経験あり。