テイラーのアルバムの売れすぎで音楽業界が大パニック!?テイラーのアルバムの売れすぎで音楽業界が大パニック!?

テイラー・スウィフトの再レコーディングシリーズの大ヒットを受けてか、大手レコード会社がそろって契約改定に動き出している。

テイラー・スウィフトは最近、自身の過去のアルバムを再レコーディングして新曲をいくつか足した「Taylor’s Version」と題したアルバム(※)をリリースすることで大成功をおさめている。

※:過去に「Fearless」「Red」「Speak Now」、そして10月には「1998」の「Taylor’s Version」がリリースされた。

この一連のリリースのきっかけは、音楽プロデューサーでジャスティン・ビーバーらのマネージャーとしても知られるスクーター・ブラウンとの原盤権をめぐる争いだ。

テイラーの「1989(Taylor’s Version)」大ヒットを受けてか、10月30日のビルボードの報道によると、米大手レコード会社(ユニバーサル・ミュージック・グループ、ソニー・ミュージック・エンターテインメント、ワーナー・ミュージック・グループら)が最近、アーティストとの契約内容を改定する方向に動き出したという。

以前、メジャー・レーベルの標準的なレコーディング契約では、アーティストが再録版をリリースするにはオリジナル盤の発売日から5〜7年、もしくは契約満了から2年待たなければならなかった。しかし現在、大手レコード会社はその期間を10〜15年に引き伸ばそうと動いているという。

そんな動きに振り回されているのは、アーティストたちの契約を扱わなければならない音楽弁護士たちだ。以下4名の音楽弁護士のコメントを抜粋する。

ユニバーサルの新契約を見たベテラン、ジョシュ・カープは、「初めて見たとき、僕はその項目を完全に取り除こうとしたよ」「『なんだこりゃ』って思った。おかしいだろう。過去に同じレーベルと合意した契約をもっと厳しくすると言われて、なぜ僕らが合意しなければならないんだ」と、これまで成立していた契約を突然変えるという動きに困惑。

ガンダール・サヴールは「私は最近、非常に大きなインディーズ契約に携わったけど、その契約には30年間の再録音制限があった。これまで私が見てきた契約からすると明らかに長い制限期間だよ。メジャーも再レコーディングの規制を拡大しようとしているみたいだけど、より慎重な形で進めると思うよ。一般的に言って、そのような極端な変更によって現状から逃げることはまだ難しい」と、全体的に制限期間が長くなっていきそうな音楽業界に不安を見せつつ、まだそこまで一気には動かないと分析した。

ディナ・ラポルトは「テイラー・スウィフトのせいで、今僕らは新たな交渉を扱ってる。最悪だよ。大量の『永久所有権』という問題に向き合わされてるんだ」と、Sワード、Fワード連発で口汚く怒りをあらわにする。「マジで言いそうになったよ、『俺にそんな契約を送るなら、ツイッター(X)に載っけてやるぞ』ってな」と、一気に増えた面倒ごとにイライラがおさまらないようだ。

また別の弁護士ドン・パスマンも「契約は徐々にアーティストに寄り添う形になっていた」のに、「(レーベルはアーティストに)再レコーディングをさせず、別バージョンを出すことを制限する方向に向かっている」と、アーティストに厳しくなってきた契約を残念がった。

大スターの新たな商法に危機感を覚えるレコード会社、制限を強いられるアーティストたち、それに振り回される弁護士たち、それぞれ苦労が絶えない時代に突入したようだ。