日本では、今後解禁される予定のカジノにおいて、6000円の入場料を取ることに決まりそうだ。さらに、与党はギャンブル依存症になるのを防ぐために入場回数制限を置くことを検討しているが、世界のギャンブル産業の常識からすると大きな隔たりがある。

アジアでは、世界最大規模のマカオカジノがある。そのほか、シンガポールや韓国、フィリピン、マレーシア、カンボジア、ベトナムなど各国にゲーム場が開設されているが、日本のカジノ政策は外国と比較してどのような違いがあるのだろうか。

日本のカジノ法案には「カネの匂い」がしてこない

その中で、シンガポールでは入場料を取るようだが、マカオをはじめ、多くのゲーム場が入場料を取らないシステムである。レストラン、ホテル、ショッピング、風俗などを含めた総合的な集客力において、質の面で、日本がよほど勝っていない限り、海外からわざわざ客を集めることは難しいだろう。

一方、国内では、競馬、競艇、競輪、パチンコといったギャンブルが競合する。また、ビットコインなど金融取引の中には、投機性の強いものがあり、こうした投資家(投機家)は潜在的なカジノの顧客になるだろう。しかし、そうしたギャンブル、金融取引に入場料に相当するモノは存在しない。

マカオカジノの収益構造を見ると、一回に最低でも1000香港ドル(約1万4000円相当)をベットしなければならないVIPテーブルがどこも経営の屋台骨となっている。主要顧客は本土の中国人富裕層である。一回の訪問で数億円相当を平気で負けてくれる顧客をどれだけ多く獲得できるかが、業績を決定付ける指標となっている。

日本では、与党はギャンブル依存症になるのを防ぐために入場回数制限を置くことを検討しているが、世界のギャンブル産業の常識からすると大きな隔たりがある。与党が検討しているカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案には、ビジネスサイドから見ると“カネの匂い”がしてこない。