転職活動をしていると「この方は国内の大企業一社しか経験していないですね。それでは弊社ではやっていけないと判断しました」と、転職経験がないことがネックになり書類審査を落とされる……ということがあります。「転職したことがない」ことが転職の妨げになってしまうのは一体どうしてなのでしょう? キャリアアドバイザーが教えます。
Cinq読者の皆さま、おはようございます。キャリアアドバイザーAです。
夏の疲れが出てくる時期です。今年は梅雨が長く、体が暑さに慣れないうちに急に高温の厳暑に突入した印象がありますよね。また、在宅勤務が続いていてあまり家から出ていなかった方が、コロナの状況が落ち着いてきたという判断から、出社指示を受けて出勤を再開するために急に外出し、体力が思っていた以上に落ちていてびっくりした、というお話も伺います。
疲れを感じたら、無理をせず休みましょう。頑張り屋さんほど、自分の体調に無頓着に走り続けてしまう傾向があるように思います。
さて、今回のテーマにうつりましょう。
「現職一社しか経験していないことがお見送りの理由です」
書類選考の不合格の理由は「この方は国内の大企業一社しか経験していないですね。それでは弊社ではやっていけないと判断しました」でした。
担当したSさんは超大手電機メーカー在籍の47歳。一流大学を卒業されており、5年間の海外駐在経験をお持ちです。エントリーして来られた際、「ピカピカの人材が登録してきてくれた!」とワクワクしました。面談してみると物腰柔らかで謙虚なお人柄です。ご経歴的には申し分なく、いわゆる「エリート」と呼べる方でした。しかし、会社の経営状況が好ましくないことから、外で活躍の場があるのではと転職を希望して来られたのでした。
海外への駐在経験もあるので外資系企業も打診してみましたが、そちらは「外資系の企業経験がないですね。せめて一社でも外資系企業を経験していたら……。この年齢で初めて外資系企業で活躍することは難しいです」という反応でした。
なぜ、転職経験をしていないことがSさんの転職を阻むのでしょうか?
転職回数ゼロ。「転職したことがない」が転職の妨げになる理由は?
長期在籍は柔軟性がなくなる(とみられがち)
一つの企業に長く在籍するとその企業の仕事の仕方、規律等あらゆることがその人の基準になってしまいます。その会社で評価されていた人、成功経験があった人ほど、自分の考えや、自社のやり方が正しいと思い込んでいます。(他社を知らないのだから当然です)根回しや社内での駆け引きの中で20年以上同じ会社にいると、どうしてもその企業の「カラーに染まり切ってしまう」。
もちろん、長年一つの企業に在籍しても柔軟性を失わずに、新しい企業にも柔軟に適応できる人はいると思います。
しかし、中途採用人事は、1つの企業に長期在籍した人は新しい企業への適応が難しいと判断してしまうことが多いのです。特に大企業に居た方ほど要注意です。何でも自分でこなさなければ立ち行かないベンチャーに比べ、業務の範囲が細分化されているからです。
カルチャーの違いは経験してみないと分からない
国内企業と外資系、大企業とベンチャー、これは企業カルチャーが大きく違います。どちらが正しくてどちらが悪いということではありませんが、それぞれの仕事の進め方が大きく違います。
特に大手企業からベンチャー企業へ転職した方は、最初はスピード感や変化の速さにびっくりされます。
私自身は大手企業に在籍したことも、全社員で30人規模のベンチャー企業に在籍したこともあり、現在は大手企業のグループ会社に所属していますが、大手企業の特融の物事の進め方の【慎重さ】(時に「遅さ」と言い換えてしまいたくなることも……)には心の中でいつも驚いています。
例え日本企業の現地法人で駐在していても、結局は日本企業の文化の中であり、外資企業の日本法人とはカルチャーが全く異なるのです。
30代前半くらいまでであれば柔軟に変化に適応できる(と考えられている)
中途採用でもっとも転職しやすいのは20代後半から30代前半です。これは仕事への適応能力があると同時に企業カルチャーに適応しやすいからです。転職経験のない28歳や29歳は外資でもベンチャーでも大手でも実力次第で転職が可能です。
日本はまだまだ人材の流動性が低く、特に国内大手の企業に在籍している人はしっかりと現実を把握しておいて頂きたいと思っています。