誰しも心の底流に封印している秘密や忘れたくても忘れられないことがあるはず

5年ぶりの映画主演作となる本作『アンダーカレント』。出演オファーを受けたときの心境を伺うと“大好きな作品だったので断る理由がなかった”と話し始めてくれた。

「私は漫画オタクで、自分が好きな作品は実写化されたくない人間なんです。だからこそ、大好きな『アンダーカレント』が実写化されるなら“私がやりたい”と思っていました。実際にオファーをいただいたときは、本当に驚きました。そして、絶対にこの作品の世界観を壊してはいけないと思ったので、何度も何度も読み返して、かなえちゃんの表情や仕草を観察しました」

「漫画界のカンヌ映画祭」と呼ばれるフランス・アングレーム国際漫画祭では、2010年にオフィシャルセレクションに選出、さらに2020年には、フランスメディアで発表された「2000年以降の絶対に読むべき漫画100選」で3位に選出されるなど、世界的にも高く評価されている本作。演じてみてあらためて感じた魅力を伺うと。

「実はこの作品が世界的に賞賛されているとか、世界中にファンがいるということは知らなかったんです。でも、出演が決定したとき、インスタで「#アンダーカレント」とハッシュタグをつけたら海外の方からたくさんのコメントをいただいて。そのときに初めて世界中から注目されてることに気づきました。きっと誰しも誰にもいえない秘密を持っていたり、忘れたいけど忘れられないことがあるんでしょうね。それには大なり小なりの差はあるかもしれないけれど、誰もが自分のコアな部分に抱えている。そこにみんな共感できるからこそ、国境を超えて世界中にファンが多いのだと思います」

作品の中には“人をわかるってどういうことですか?”など、思わず考えてしまうような、深く印象的なセリフが多く出てくる。真木さんの中で一番印象に残ったセリフやシーンは?

「予告編にも出てくるのですが、夫役を演じた瑛太さんの“本当のことなんて誰も知りたくないんだよ”というセリフですかね。瑛太さんのあの声で、あのテンションで言われると“そうなのかもしれない”って思っちゃう。私は真面目に素直に生きているつもりだけれど、実は本当の気持ちを知るなんて面倒くさいって思っているのかもしれないなって、考えさせられました」

瑛太さんとは「最高の離婚」をはじめ何度も共演している真木さん。今回の作品であらためて感じた瑛太さんの魅力を伺うと、“彼は怪物なんです”と笑った。

「今回共演して、やっぱりすごいなって思いました。現場では普通にいつもの感じで演じているのに、映像を見ると全く違う印象になる。“あぁ、こうなることをわかって演じていたのか...”と驚かされますし、もしそれを意識せずに自然とやってるとしたらバケモノだなって(笑)」

“生きるための嘘は、罪ですか?”と、キャッチコピーがついている本作。そこで真木さんが最近ついた嘘を教えてもらうと。

「実は、この作品の公式インタビューで“ショックのあまり気を失った初めての作品”とお話したんですけど、少し盛っちゃいました(笑)。嘘ではないんですよ。撮影中は、かなえちゃん役に入り込むあまり、ずっと心を揺さぶられている感覚で辛かったのは本当です。でも気を失ったのは、撮影していたのが真夏だったのに、舞台は冬設定だったので、ものすごく重ね着をしていて、その衣装で何時間もいたので、暑さのあまりフラッと...。でも、それも含めて気を失ったということにしちゃったという、小さな嘘をつきました(笑)」

いたずらっぽく笑う真木さんはとってもかわいらしく、40代とは思えない美しさ。その美貌の秘密を伺うと、“いやいや、衰えを感じてますよ”と笑う。

「以前は徹夜しても平気でしたが、今はもうダメ。明け方まで飲んでしまおうものなら、3日後まで引きずっちゃいます(笑)。そういうときに歳をとったなぁって感じますね。なので、今はできるだけ健康を意識した生活を心がけて、毎月しっかり検査をするようにしています」

最後に40代でやってみたいことを伺うと?

「女優業はまだまだやっていきたいと思っているのですが、ただ与えられた仕事をするだけではなく、自分自身で作品を生み出してみたいという気持ちが大きくなりました。気づけば周りには、若くて良い役者さんがたくさんいらっしゃるので、その方たちと一緒に何か新しいことができたらいいな...。なんて思っています」