2024年1月からスタートする新NISA。現在のNISA制度と比べて投資額や非課税保有期間などが大きく拡充します。なかでも大きく変更する点が「非課税枠を再利用できる」というものです。

基本的には非課税枠が再利用できることはメリットですが、使い方によっては有効性を発揮できない可能性があるので注意しましょう。

■現行NISAから新NISAへの主な変更点

まずは変更点についておさらいしましょう。主に5つあります。

・制度が恒久化する。 ・非課税で保有できる期間が無期限になる。 ・投資枠が大きく拡大する。 ・新たに生涯投資枠が設けられる。 ・一般NISAとつみたてNISAの併用が実質可能になる。

大きな変更点のひとつが生涯投資枠です。生涯にわたり1,800万円の非課税投資枠が利用でき、保有株を売却すれば非課税枠が復活する(=再利用できる)という仕組みになっています。

例えば、300万円積み立てて簿価ベースで200万円分取り崩した場合、残りの投資枠は「1,800万円-300万円+200万円=1,700万円」となります。

【新NISAの改正点】

  現行NISA 新NISA
つみたてNISA 一般NISA つみたて投資枠 成長投資枠
投資可能期間 2023年末で買付終了 恒久化
非課税期間 20年間 5年間 無期限
年間投資枠 40万円 120万円 120万円 240万円
生涯投資上限額 800万円 600万円 1,800万円 (うち成長投資枠1,200万円)
投資商品 投資信託・ETF 上場株式・ETF・REIT・投資信託 投資信託・ETF 上場株式・ETF・REIT・投資信託(高レバリッジ型の投資信託は除く)
両制度の併用 不可
売却枠の再利用 不可

■非課税枠再利用のメリット

非課税枠が再利用できるメリットは3つあります。

●メリット1:臨機応変に取引できる

新NISAでは保有商品を売却すれば非課税枠を再利用できるので、経済状況の変化や地政学的な問題などが生じた時に、非課税枠を無駄にすることなく臨機応変に取引することが可能です。

なお、現行NISAでは非課税枠が復活しないため、非課税期間内に売却してしまうとそれ以上は投資できません。そのため、臨機応変な取引がしにくいというデメリットがありました。

●メリット2:銘柄選定の幅が広がる

株式投資では、一部のセクターが注目されて株価が上昇することがあります。セクターとは、業種や特性などで企業の株を振り分けたグループのことです。

たとえば、食品や日用雑貨などの生活必需品の製造が主要の企業の株は、「生活必需品」のセクターに分類されます。また、銀行などの株は「金融」のセクターに分類されます。

非課税枠が再利用できるようになることで、これまで持っていた株を売却し、上昇したセクターに分類されている株を購入するといったことも、これまでより気軽にできるようになります。

●メリット3:ライフイベントに応じて気軽に売買できる

結婚や出産、住宅購入、教育といった出費があるライフイベントに対応しやすいというのも新NISAのメリットです。

保有商品を売却しても非課税枠が再利用できるため、非課税枠のことを気にすることなく、ライフイベントに応じて保有商品の売却によりお金を用意することができます。

売却の翌年以降に復活した非課税枠はまた余裕ができた時に利用することができるので、ライフイベントなどに応じて気軽に売買することが可能です。

■非課税枠再利用のデメリット

基本的には非課税枠を再利用できることにはメリットが多いですが、使い方によっては損する可能性もあります。注意すべき点を確認していきましょう。