表情ゆたかな『ウィッシュ』のキャラクターたち
ディズニー100周年記念作品にして、12月15日公開予定の最新作『ウィッシュ』より、オフィシャル予告編が公開された。
今回公開となったオフィシャル予告編では、物語の概要を推察するためのヒントが多く確認できただけでなく、ディズニー100周年記念作品だけあって、過去のディズニー映画にみられたさまざまな要素を散りばめた作品であることがよくわかる内容となっている。
この記事では、予告編で見られた要素を紐解きながら、過去のディズニー映画を思い起こさせる部分についても言及していきたい。
まず、主人公アーシャの人物像がティーザー予告よりもわかりやすくなっている。
どうやらアーシャは、少々落ち着きのない言動と仕草が楽しい主人公のようだ。そそっかしいが正義の心を持ち、民衆のことを考えるヒロインというと、一番近いディズニープリンセスは『アナと雪の女王』シリーズのアナだろうか。
陽気そうな友人ダリアから、「国王の弟子(The King’s Apprentice)」と呼ばれるアーシャが、王国のトラブルメーカーとして事件を起こしそうな様子から思い出すのは、『ファンタジア』でミッキーマウスが活躍する一幕である『魔法使いの弟子(The Sorcerer’s Apprentice)』だ。
“星を見上げて願いをかける”という展開は、『ピノキオ』の名曲「星に願いを」に代表される、ディズニーが歴史的に紡いできたもの。白雪姫もシンデレラも、“夢は願えば叶う”という心で何かを勝ち取ってきた。
しかし、今回はそんな“願い(ウィッシュ)”自体が危機的状況にある。
舞台は「願いを叶える能力を持つ王によって作られた魔法の王国」と語られるロサス王国。王国を統治するマグニフィコ王は、自分がハンサムで人々から愛されていることを当然と考えているほどの、ナルシストで独善的な国王のようだ。予告編を見る限りでは、彼が今回のメインヴィラン(悪役)と推察される。
彼は人の願いが具現化したものを集め、その願いを自在に叶えることができる様子(何か条件はあるのかもしれないが、現時点では詳細はわからない)。
国民からしてみれば最高の国王に見えるが、そう平和だったら何も起こらない。彼は独裁的な判断によって国のためになりそうな願いを叶える一方で、ほとんどの国民の願いは叶えないことにしているようだ。そしてその事実を知った「国王の弟子」アーシャは動揺し、疑問を抱くといった展開があるようだ。
そんなシリアスな展開も気になるところだが、もちろん今作はディズニー映画。愉快で楽しい、家族で楽しめそうな要素もたくさんありそうだ。
まず、主人公アーシャを演じるのがアリアナ・デボーズ(『ザ・プロム』『ウエスト・サイド・ストーリー』)であり、今回の予告編にも歌が入っていたとおり、今作にも過去にディズニーが製作した多くのファンタジーアニメにならった、ミュージカルテイストが期待されている。
さらにアーシャの相棒としてはヤギのバレンティノが登場。ラプンツェルの相棒パスカルや、ポカホンタスの相棒ミーコのようなキュートな外見で癒してくれるだけでなく、魔法の力で言葉を発するようになることで『ムーラン』のムーシューや『アラジン』のジーニーのような、“お茶目な相棒”ポジションすら兼ねてしまうようだ。
さらにバレンティノの指揮で動きのそろったダンスを披露するニワトリたち、魔法で魂を持ったように踊り出す花(『ふしぎの国のアリス』のようだ)など、マジカルで楽しいシーンも多そうだ。
このように『ウィッシュ』は、力強く面白いヒロイン、陽気な親友、恐ろしい悪役、星と願いごと、ミュージカル要素、キュートかつコミカルな相棒、踊る動植物と、“ディズニー映画といえば”な要素がすでに盛りだくさんであることがわかっている。
100周年を締めくくるにふさわしい内容になりそうな『ウィッシュ』の続報に期待しよう。
『ウィッシュ』概要
これまで、『白雪姫』、『ピノキオ』、『シンデレラ』など、ディズニー作品の主人公たちは強く願う力で道を切り開いてきたが、本作はそんなどの作品の世界よりも前から存在するファンタジーの世界、どんな“願い”も叶うと言われている “ロサス王国”を舞台にした物語で、その主人公となるヒロインは、“願いの力”をまだ知らない17歳のアーシャ。
前向きで明るく、王国の人々を大切に思っている彼女は、ある出来事によってこの夢のような王国に隠された”裏の顔“を知り、ディズニー史上最も恐ろしいヴィランに立ち向かう。(予告動画の概要欄より)