『ザ・コンチネンタル:ジョン・ウィックの世界から』© Amazon Studios
2023年5月の時点で、全世界の興行収入10億ドル以上を記録しているキアヌ・リーブス主演『ジョン・ウィック』シリーズ。そんな大ヒットシリーズの前日譚ドラマ『ザ・コンチネンタル: ジョン・ウィックの世界から』が、9月22日(金)よりPrime Videoで独占配信開始となる。同ドラマは3部構成のストーリーで、ジョン・ウィックの世界を象徴する暗殺者のためのホテル「コンチネンタルホテル」の起源を、若きウィンストン・スコットの目線から探っていく。本作で、若きウィンストン役を演じたコリン・ウッデルのインタビュー(※)が到着した。
(※このインタビューはアメリカの脚本家組合&俳優組合のストライキ開始前に録られたものです)
『コンチネンタル』 の概要を教えてください
『コンチネンタル』は映画『ジョン・ウィック』の前日譚であり、シリーズをご存じの方なら、この作品がジョン・ウィックの世界への入り口として素晴らしい作品であることが分かるでしょう。ジョン・ウィックシリーズの舞台から30~40年前の話です。そして、多くの登場人物、世界のさまざまな側面、特にコンチネンタルホテルの素晴らしい紹介となっています。さらに、映画を見たことがある人なら分かるような、ちょっとした面白い仕掛けも沢山あります。
とても嬉しいことに、今作のプロデューサーたちは全て映画と同じメンバーだから、作品へのリスペクトを込めてこれまでのシリーズとの忠実な統一感があります。でももっと素晴らしいことに、70年代だから形式的な違いがあるんです。私たちの世界観に新たな味わいを加えるために、これから小さな要素を追加していくことになります。
この世界観がとてもクールなのは、ニューヨークを舞台としているから現実のようなリアリティを感じさせる一方で、立ちはだかるユニークな犯罪の裏社会が組み込まれていることです。ダークなスピリットを感じさせると同時に、映画シリーズでもあった煌びやかさを感じさせます。
本シリーズでのアクションシーンで、印象的だったことについて教えてください。
このシリーズが登場して印象的だったのは、アクションシーンの優美さです。こんなアクションシーンは誰も見たことがない。特に、キアヌ(リーヴス)がジョン・ウィックにもたらした影響は大きいと思います。キャラクターは活気に満ちていて…彼らは真似事じゃなく、本物の人間を生きている。作品を発表した時は、情報を小出しにして発表して多くを明かさなかったから、皆の期待も高まったと思う。僕も初めて観た時は、こんなアクション見たことないって驚いたよ。そういうところが、この作品の特別なところだと思います。
本当にクールなのが、(ジョン・ウィックの)スタントマンを担当した87イレブンの目を疑うような素晴らしいパフォーマンスです。彼らのパフォーマンスを見ていると、もうダンスみたいなもので、彼らのアクションをとても誇らしく思っています。
ウィンストン役を引き受けた理由を教えてください。
キャラクターも当然24時間のスパンで生きています。そして俳優がそういったマインドセットに飛び込んで、感情の旅に出たとき、そしてワルでクレバーなキャラクターになれるというのは、僕にとって非常にクールなことでしたから、何の迷いもありませんでした。しかも僕は、イアン・マクシェーンのウィンストンを観ていなかったので、ラッキーでした。自分なりのアプローチで挑んで、それがマッチするかどうか試すつもりです。
イアン・マクシェーンには影響を受けましたか?
最初僕は映画を見ていなかったし、彼がどう演じていたかも知らなかったから、とてもシンプルな気持ちで引き受けたよ。オファーを受けた後にこのプロジェクトについて話し合う中で、シリーズの映画3本を一日中見ていたよ。本当に膨大だったけど、彼の演技やニュアンスの一つ一つが本当に勉強になった。そして、彼の演じるウィンストンをどれだけ再現できるかが論点になっていきました。だけど実際には、「よし、自分が演じるのは30年から40年前の彼だ。ほとんど別の人物だと思っていい。」といった具合で、だから僕は彼のウィンストンを参考にしつつも、自分なりのウィンストンを自由に演じられたんです。
シーンのために沢山稽古されましたか?
面白いもので、現地に着いたときは、「よし、やっとトレーニングしてアクションガイになれるんだ」って興奮したんです。そしてここに来て、台本を読み始めたら、「僕がやらなきゃいけないことなんて、そんなにないんだ」って気づきました。何かするとしても、ただ銃弾をかわして、かろうじて状況を切り抜けるだけ。僕は何もしていないんです。でも、ウィンストンのクールなところはそこだと思います。彼は賢い。それが彼のパワーであり、誰かの尻を蹴ることではなく、相手を出し抜くことなんです。だからトレーニングはとても面白くて、キャストのみんなは本当に大掛かりなことをやっていて、体が痛いとかぼやいているたのですが、僕は「そう、そう、首が痛くてたまらないんだ」って。でも実際は、大したことはしていないんですよ。
では、彼がファイターではないとしたら、ウィンストンをどう表現しますか?
ウィンストンの生い立ちから、彼には間違いない喧嘩っ早さがあります。多くの回想シーンでわかるように、ウィンストンは決して戦い方をすぐに身につけるような男ではなかったということです。それでも、生き残るしかなかったんです。私たちが思っているのは、ウィンストンが自分自身で状況を打開できる人物だということ。彼は常にいい戦いをする。ただ、その戦いに勝つとは限らない。でも、それは彼という人間の本質を表しています。そして、それが彼の選んだ道であり、彼のためでもあり、それが彼の成功につながっています。
シリーズでウィンストンが登場する場所について教えてください。
ロンドンです。彼は一見成功したビジネスマンで、人生最大の取引の崖っぷちに立たされていますが、彼が育ったニューヨークで兄のフランキーと法律トラブルに巻き込まれたため、ここ15年ほどロンドンに住んでいることがわかります。だから、彼は自分自身を証明するために生きてきた。家族も友達もいない。彼はまるで一匹狼です。そして、彼は成功を幸せの手段として見てきたんだと思います。でも、アイビー・リーグのような教育を受けられないことは分かっている。オックスフォードに行ったわけでもない。裕福な家庭でもない。だから、成功するためには手を抜き、自分が望む場所にたどり着くために必要なことは何でもしなければならなかったんだんです。
だから、彼はちょっとした詐欺師とも言えますが、同時にとても現実的で、過去の過ちから、常に不安と隣り合わせで生きていくことを分かっている人物です。
この世界でコインは何を意味するのか教えてください。
コインそのものは一種の通貨です。実際にコインで買い物をすることもできますが、それ以上にコインとコインが象徴するもの、つまり通過儀礼であることが重要なのです。コインを持っていれば、コンチネンタルに泊まることができる。しかし、このコインはそれを所有する人のステータスを表し、コインの価値を考えれば、コインプレスが実際にどれほどの意味を持つか想像がつくでしょう。というのも、もしコインプレス機が悪人の手に渡ってしまったら、その人は好きなだけコインを鋳造することができ、市場に溢れかえり、突然コインの価値が失われてしまうからです。
シリーズを通してウィンストンはどのように成長していきますか?
彼を演じるのは本当に楽しいです。物事の進展がいかに早いか、そして、それに対処できる時間がいかに短いかがよくわかります。ロンドンで生きてきた孤独のせいで、彼は成功を収めなければならないというプレッシャーを強く感じていて、それが自分に幸せにつながると信じています。兄と再会した彼は、自分に欠けていたものが家族と愛であることに少しずつ気づき始めます。だから、長い間ひとつのことに突き動かされてきた彼が、嘘の人生を送ってきたことに気づいたとき、それに対処するのは簡単なことじゃない。でも今の時点で失うものは何もないと気づくことが出来て、自分の手で問題を解決しようとするのです。
ウィンストンとシャロンの友情について教えてください。
最初の出会いからいきなり絆が生まれて、映画で描かれていたような関係になるわけではないんです。ウィンストンがシャロンに接近したとき、間違いなく敵意があります。シャロンが誰と手を組んでいるか、ウィンストンがシャロンに責任を負わせているかということで、怒りが渦巻いているんです。だから、最初二人の関係は最初少し重い。でも、ウィンストンはこの少年に共感し、このかわいそうな少年がどれだけ自分の鏡のような存在で、洗脳され、自分がどのような世界に巻き込まれているのかすら理解していないと知ることができたと思うんです。そして、ウィンストンはいつも、誰かがやってきて自分と家族を救ってくれたらと願っていたのだと思います。
個人的には、イアン・マクシェーンとランス・レディック演じるウィンストンとシャロンの関係が大好きです。アヨとあのシーンを撮れたこと、そして僕らがこの役柄に入り込み、ストーリーを進め、化学反応を起こすことができてとてもワクワクしました。そしてあの日、バスの中で私が彼を口説くシーンで、二人の関係が徐々に発展し始めた。歯車が回り始め、2人の間に繋がりができ始めたと思います。興味深い瞬間でした。僕はウィンストンで、君はシャロンだ。これはエキサイティングだ」と。