『バービー』と『トイ・ストーリー』の共通点とは?『バービー』と『トイ・ストーリー』の共通点とは?

※この記事には映画『バービー』についてのネタバレがあります。

いま映画ファンの中でホットな、おもちゃに関する映画といえば、日本でも8月11日に公開となる『バービー』。グレタ・ガーウィグ監督最新作となる今作のあらすじは、すべて完璧で幸せな日々を繰り返す“バービーランド”からバービー(マーゴット・ロビー)とケン(ライアン・ゴズリング)が、バービーランドとはかけ離れた人間世界に迷い込むというもの。

『バービー』は女性監督による映画として史上最高のオープニング週末興行収入を達成。いまも世界中で熱狂を生んでいる最中だが、映画ファンにとっておもちゃを題材にした映画といえば、『バービー』以外にもすぐ思いつく映画があるのでは?そう、『トイ・ストーリー』シリーズだ。今回は意外なほど多い、この2作の共通点を5つ紹介する。

共通点その1:おもちゃに対するノスタルジー

『トイ・ストーリー』シリーズが、我々が子供の頃に遊んだおもちゃに抱く感傷を描いたのと同じように、『バービー』も人形に対するノスタルジア(懐かしさ・感傷)を感じさせる。

映画のメインストーリーはバービーとケンだけでなく、バービーを生んだマテル社に勤める女性グロリア(演:アメリカ・フェレーラ)にも焦点を当てており、グロリアは、自分の青春時代に大きな影響を与えたバービー人形に、娘も同じように憧れてほしいと願っている。

グロリアの人形が箱に詰められるエモーショナルな回想シーンは、『トイ・ストーリー』のアンディとウッディたちの感動シーンを思い出させる。

どちらの映画も、何百万人もの子供たちを育てたおもちゃに関する要素がぎっしり詰まっており、長くおもちゃを手に取っていない大人たちを喜ばせる作品だろう。

グロリア役のアメリカ・フェレーラ(@barbiethemovie / Instagram)

グロリア役のアメリカ・フェレーラ(@barbiethemovie / Instagram)

共通点その2:おもちゃと人間の不思議な相互作用

『トイ・ストーリー』では、主役のおもちゃたちは人間と同じ世界に住んでいるが、人がおもちゃで遊ぶときはいつも、生きてなどいないフリをする。

一方『バービー』では、人形たちは自分たちの世界(バービーランド)で人間のように生活しているが、人間の世界にアクセスする方法も存在する。

このように設定の違いはあるものの、両作品とも、おもちゃの生活と人間の生活が衝突したときに何が起こるかを楽しく描いている点で共通しているといえる。

共通点その3:おもちゃと人間が結ぶ、特別な絆

『トイ・ストーリー』といえば、ウッディのブーツの底に書かれた名前など、持ち主であるアンディとの関係性、絆がキーになるシリーズ。1作目では、これまで相棒だった大好きなアンディがウッディと遊びたがらなくなったことで、ウッディがそれに耐えきれなくなるところから物語が始まる。

『バービー』における、バービーランドと地球とのつながりに関しては原理が明かされていないが、それでも人間と人形をつなぐ目に見えない糸があるようだ。グロリアが憂鬱(ゆううつ)な感情を抱き始めると、その感情は“定番バービー”(演:マーゴット・ロビー)にも伝わり、2つの世界をつなぐ感情的な絆のようなものがあることを示している。

共通点その4:一部のおもちゃが他のおもちゃと異なる扱いを受ける

子供を持ったことや、子供の周りにいた経験のある人なら、幼い子どもたちがいつでもおもちゃと優しく遊んでくれるわけではないことを知っているだろう。『トイ・ストーリー』も『バービー』も、おもちゃにとっては残酷とも言える真実をコミカルに描いている。

『トイ・ストーリー』で、ウッディはアンディの不吉な隣人シドの家に連れてこられ、さまざまなおもちゃの部品を組み合わせて作られた「ミュータント」のおもちゃたちに出会う。誰もが忘れられない不気味なシーンだ。『トイ・ストーリー3』でも、幼すぎる子供たちに乱暴に遊ばれたおもちゃたちがひどい目にあってしまうシーンが印象的だ。

一方『バービー』では、ケイト・マッキノンが “へんてこバービー”を演じている。このバービーは、髪がぐちゃぐちゃに切り刻まれ、足も無駄(むだ)に大きく開脚しており、顔中に落書きがあるのだ。

"へんてこバービー"を演じたケイト・マッキノン

“へんてこバービー”を演じたケイト・マッキノン (@barbiethemobie / Instagram)

共通点その5:おもちゃが自分の存在意義を追求する

最後に、『トイ・ストーリー』も『バービー』も、私たちがモノとしか見ないおもちゃに考えや感情を与えることで、憂鬱で切ない現実を描いている。私たちが子供の頃に楽しんだものは、私たちが大人になると置き去りにされてしまう。

『トイ・ストーリー』シリーズでウッディは、「もし子供が僕と遊びたがらなくなったら、僕の存在意義は何だろう?」と自問し、彼は最終的に(4作目で)、生涯を通じてさまざまな子供たちに喜びを与えることかもしれないと気づく。

一方、『バービー』でも同様に、“定番バービー(演:マーゴット・ロビー)”は自分の目的は何なのかと考え、バービーの発案者であるルース・ハンドラー(演:リー・パールマン)に会ったときに一つの答えを得る。ルースはバービーに、「バービーは進化し続けるように創られたのであり、彼女の物語に特定の結末はない」と伝える。

どちらの作品も、最終的なメッセージは希望に満ちていて、私たちがおもちゃから卒業しても、おもちゃは私たちとともに成長し続けるということを示唆している。

このように、おもちゃを題材にした映画同士、『トイ・ストーリー』との共通点も多い『バービー』は、全米公開(7月21日)からわずか17日で全世界累計興行収入が10.3億ドル(約1,462億円)を突破し、今年公開作の全世界興行収入ランキングですでに2位にランクインする盛り上がりを見せている。

『バービー』は、8月11日(金)から日本公開。バービー人形に思い入れのある人はもちろん、そうでない人も全力で楽しめる作品になっているので、ぜひ映画館へ足を運んでほしい。